第2話 会議と当選



ダンジョン発生から、1ヶ月。



——首相官邸、大会議室。



「総理、アメリカからの情報は以上です」


「まさか…まったく信じられん。スキルやらステータスというのは、ゲームの話ではないのかね?」


「えぇ、そうです。しかし、実際に現実で起きています」



大会議室にて官僚や自衛隊関係者は沈黙した。

今まで想定もしてこなかった事態に政府や自衛隊は対処できないでいた。

現在ダンジョンは自衛隊の協力を得て「封鎖」という状態だ。



「国民の一部からは、ダンジョンを解放しろという声も出ています」


「なぜだ? 危険だということは国民も認識しておろう」


「どうやらスキルやステータスの力を得たいという人が増えているようです」


「実際に他国では国民に力を与えて、国民との協力体制を取る国が増えてきています」


「では、我が国でもそうすべきでは?」



議論をする声が大会議室で飛び交う。

その時だった。



「総理、緊急の電話です」


「誰だ?」


「アメリカ合衆国大統領、ジェームズ・スミスです」


「……繋いでくれ」



アメリカ大統領からの突然の電話。

会議室内は静寂に包まれた。



「もしもし」


「お久しぶりです、田中総理。ジェームズです」


「お久しぶりです。今日はどのようなご用件で?」


「実は国連で新たに世界規模のプロジェクトの提案をしようと思っています」


「世界規模の…プロジェクトですか?」


「はい。世界規模でダンジョンに対処できる組織『探索者協会』を創ろうと提案しようと思っています。そこで事前に田中総理には報告しておこうかと思いまして」



このアメリカの提案により、世界には新たな職業が生まれた。




 ◆ ◆ ◆




約1年後。



「まさか…当選してしまうとは…」



俺はリビングで自分のスマホを見つめていた。

そこに書かれていたのは、


『当選しました。1週間後の6月20日に探索者協会本部にお越しください』


という内容だった。



探索者協会によってダンジョンの民間人立ち入りが許可された。

それに伴い、ダンジョンへ最初に入れる人を制限した。

ダンジョンに人が殺到するのが目に見えていたからだ。

そこで俺はその抽選に当たった。



(初回当選って確か、2400万人が抽選に参加して30人しか当たらないんだよな...どんだけ運がいいんだよ)


…ダンジョンか…。


想像しただけで手に汗を握り、それと同時に胸の鼓動が高鳴った。

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