第7話 勇気

エルピス「クレイス先生!!」


このままだとクレイス先生が危ない。

だが、馬車はかなり遠くにあり走って着いた頃にはもう間に合わない。ましてや今のわたしでは無力だ。


エルピス(そうだ!魔法なら!)


わたしは咄嗟にポケットにある魔法杖を取り、フォレストウルフの方向へ向けた。


エルピス(ええっと。ウォーターボールじゃ威力が足りないから…)


魔法が使えたことはないけど、クレイス先生を助ける為にはこれしかない。わたしは必死に攻撃になる魔法を考える。


エルピス(あっ。これなら!)



『ライトスピアー!!』



すると…胸のあたりから熱い何かが手先に向って流れ魔法杖の周りに光でできた槍ができた。

複数個その槍ができると目にも留まらぬ速さでフォレストウルフへ向かっていった。



ドッゴゴゴ〜ン        キャウン



一瞬にして馬車の周りは土煙に覆われ、フォレストウルフの叫声が聞こえた。



エルピス「やった!できた!わたしできた」


わたしは急いで馬車の場所へむかった。



ハッハッハッ…



馬車は半壊しており、先に父と母、そしてメイド達がクレイス先生の救助をしていた。


エテレ「大丈夫?クレイス」


母が瓦礫の中に手を伸ばしクレイスの腕を掴むと引き上げた。


クレイス「大丈夫です…」


瓦礫からクレイスが出てくる。


どうやらクレイスは軽傷で済んだようだ。


エルピス「クレイス!!」


わたしは思わずクレイスに思いっきり抱きついた。


クレイス「エルピス様!」


エルピス「よかったぁ~」


イロアス「あれ、エルピス?」


父の声で気付いた。あんなに怯えていたわたしは今家族以外の人に抱きついてる。


ピスティス「やりましたね!お嬢様!」


エルピス「うん!」


わたしはクレイス先生の顔を見ようと首を上に向けた。

笑顔の先生が見える。


エルピス(ああ。良かった…)


そう思った瞬間、大きなめまいに襲われた。


クレイス「エルピス様!?」


エテレ「エルピス!」


ピスティス「おじょ……ま」


わたしはそのまま意識を手放した。


──

────

──────


「また怒られてるぞ」


「今日も平常運転。皆勤賞だな」


俺は今日も課長に呼び出され怒られてる。


課長「これ!昨日までやっとけって言ったよね?」


笑留人「はい…」


怒られてると言っても理不尽なことだ。昨日までやるべきことは徹夜してすべてやったはずだが、見知らぬ仕事を見せつけられ怒られている。というのも、これは課長がやるはずだった仕事だ。何なら俺のやっている仕事の半分以上は課長のやるはずのもの。

俺は昔からこうだ。最初は言い返せていたが、もうめんどくさくなって中学くらいから何も言い返さずにいる。

おそらく俺の性格が悪いのだろう。

周りも助けようとはせずコソコソと笑うだけ。


でも、そんな俺にも優しくしてくれる人がいた。


高校の頃…


「えるとくん。えーるとくん。ねぇってば」


笑留人「なにさ」


「今日はアニメショップいくの?」


笑留人「行くよ。なんたってあの美少女エルフ【キルエ】の1/4スケールフィギュアの発売日だからな」


「じゃあ。私もついて行っていい?」


笑留人「べ…別にいいけど…」


「やった!じゃあまたエルフのこと教えてね」


笑留人「いいよ」


彼女は1年の頃僕の前の席だった【中川雪猫】


突然話しかけてきたと思ったら。俺のバックに付いているエルフのカプセルフィギュアのことを聞いてきた。

それからというもの雪猫はエルフの事について毎日のように聞いてくる。


雪猫「やっぱり………は………………な…」


笑留人「ん?なんか言った?」


雪猫「なんも」


────

──


あれ…何で前世の夢なんて見てるんだ?


てか、ここはどこ…真っ白


                「笑留人」


ん?誰か俺の名前を?


                「笑留人」


また。


                「笑留人」


一体どこから…


                「笑留人」


誰ですか


                「笑留人」


                「笑留人」


                「笑留人…」


──────

────

──

                「エルピス!」




つづく


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