第3話 テオロデー

エルピス(んっっ。どこここ)


わたしは真っ白な空間に居た。


?「いやー。話忘れてたよ」


目の前から聞き覚えのある声がした。


クリエル「久しぶり」


そこには俺を転生させたクリエルがいた。


クリエル「ちょっと早とちってさ。説明せずに行かせちゃった」


エルピス「なんですぐに戻さなかったんだよ」


クリエル「だって。こっちに戻すのに5年はかかるんだもん。それよりさ、時間ないから説明するね」


エルピス「いつも時間ないな」


クリエル「忙しいからね。では、説明するからよく聞いてね」


クリエルはそういうと本を出し、パラパラとなにかを探していた。


クリエル「どれどれ?あったあった。えーっと。転生者は特別な存在でなければならない。転生者はその世界に利益を出すこと。だね」


エルピス「だね。と言われても…」


クリエル「まぁ。つまり君はとてつもない能力を持っていて、それを使って転生先の世界を救えってことだね」


エルピス「えぇ…」


クリエル「めんどくさそうにしないでよ」


エルピス「もっとスローライフしたかった…」


クリエル「廃エルフになりそう…。とりあえず。時間ないから。あと、引き戻すために、君のからだにだいぶ負荷かけたから頑張ってねー」


エルピス「えぇ…」


クリエル「じゃあねー」


クリエルがてをふると背中から引き戻される感覚がきた。


クリエル「あっ。言い忘れてた…」


エルピス「おい!お前!またやる気じゃ……」


━━━━

━━━

━━


エルピス「ううっ」


エテレ「!?エルピス!」


ピスティス「イロアス様を呼んできますね!」


エルピス(うわぁー。クソいてぇー)


胸の内側から剣で刺されたように痛い。


そんな痛みのなか目を開けると、わたしの部屋(屋根裏)に母エテレと見知らぬエルフが居た。


エテレ「セラピアさん。エルピスは…」


セラピア「意識は戻りましたがまだ安全とは言い切れません。様子を見ましょう」


エテレ「ああ。エルピスっ!」


母はわたしの手を強く握る。


エルピス「ママ…」


母には心配をかけないと思ったが思いもよらぬことで心配をかけてしまった。


心配を解きたいが転生のこととクリエルのことは言ってはならない気がする。クリエルはそんな事言ってなかったけど。おそらくクリエルのことだ、言い忘れてるのだろう。


バタン!


イロアス「エルピス!!」


父が大急ぎでこっちに来た。


エルピス「パパ…」


わたしは大丈夫なところを見せようと起き上がるが


エルピス「イッタ」


全然体が痛みがはしる。


セラピア「エルピス様あまりお動きにならないでください」


これはしばらく動けそうにならないな。


エテレ「エルピス。とても心配したのよ」


エルピス「ママ。ごめんなさい」


わたしは不意に謝った。


エテレ「なぜ謝るのよ。あなたは悪くないわ。にしても、5日間も寂しかったわ」


エルピス「え?5日間!?」


どおりで体が動きにくい訳だ。


────

──


それからというもの、母はわたしを心配して、家事の合間には必ずわたしの側にいた。


エルピス「もうママ。ピスティスが居るから家事に集中すれば良いのに」


エテレ「だって、あなたが心配なのよ」


でも、正直とても嬉しい。

前世ではこうやって心配されることは全然なかった。

前世の両親はやりたいことをやらせてくれない、手助けしない人だった。


セラピア「エテレ様ー!」


外からセラピアの声がした。


エテレ「今行くわ」


母は急いで外に出る。


エルピス「ところでピスティス。あの人はだれ?」


ピスティス「お医者さんですよ」


エルピス「どこから来てるの?」


ピスティス「都市シュンフォニアからきてます」


エルピス「都市?」


ピスティス「沢山の人が暮らしている街のことですよ」


エルピス「へー」


そういえばこのエルフ人生でここら辺から出たことないなぁ。まぁ。人にあったらわたし怖がっちゃうからなぁ。セラピアも少し怖いもん。


でも、転生者はこの世界に利益を生まないといけないんだよなぁ。


この世界のことをもっと知っとかないと。


エルピス「ピスティス」


ピスティス「はい。なんでしょうエルピスお嬢様」


エルピス「本を持ってきて」


ピスティス「わかりました。どのような本が良いですか。エルフとドワーフ?それとも大きな怒気カブですか?」


エルピス「うんん。歴史の本ってある?」


ピスティス「歴史の本ですか…。一旦クラトラス様に相談しますね」


エルピス(まずはこの世界についてよく知っておかないとな)


━夜━


わたしが寝ている間両親とメイド達は会議を行っていた。


クラトラス「んで、エテレ。エルピスの様子はどうだった?」


エテレ「今日も何事もなく元気だったわよ。そういえばセラピアが来てエルピスの状態を伝えに来たわ」


クラトラス「そうか。で、今エルピスはどのような状態なんだ?」


エテレ「それが…。どうやら心臓に原因があるらしくって」うっ…


エテレは手で顔を覆い泣く。


クラトラス「そうか。」


フィーリア「エテレ様…」


フィーリアは泣くエテレを慰めた。


クリエルの言う負荷とは、エルピスの心臓を呪いで縛りつけるというものだった。一応回復はするが、続けて魔法などを使うと最終的には心臓が潰れて死んでしまう。


ピスティス「そういえばクラトラス様」


クラトラス「なんだピスティス」


ピスティス「エルピスお嬢様が本を読みたいと」


クラトラス「ほう。では、童話の本を探してみるか」


ピスティス「いえ。あのそれが…」


クラトラス「どうしたピスティス」


ピスティスは言いにくそうに下を向く。


ピスティス「お嬢様はどうやら歴史の本を読みたいようで」


それを聞いた瞬間クラトラスも下を向いた。


クラトラス「そうか…勉強をすることは良いことだが、次は歴史か…厄介なことになったな」


ピスティス「お嬢様。気付かなければ良いのですが…」


━━━━

━━


ピスティス「はい。お嬢様。私たちの国アウラー王国についての本です」


エルピス「わー!ありがとう」


エルピス(やっと手に入れた。なぜか1週間も待たされたが、これでこの世界について一歩進めれる)


わたしは早速本を開き熟読した。


━世界の成り立ち━


この世界。テオロデーは統一の神エノピアによって造られた。


エノピアはこの世界の維持のために

水神 ネロ

炎神 フロガ

風神 アネモス

岩神 ペトラ

雷神 イレクトリズモス

氷神 パゴス

光神 フォス

闇神 スコダディ

を創造神ディミオルゴに作らせ、

水神ネロは ロエー(水の国)

炎神フロガは テルモン(炎の国)

風神アネモスは アウラー(風の国)

岩神ペトラは スクリロ(岩の国)

雷神イレクトリズモスは リブマ(雷の国)

氷神パゴスは クリオ(氷の国)

に鎮座させた。

そして、光神フォスは世界を照らすように、闇神スコダディは夜を見守るように命令した。


エルピスはページをめくる


━風の国アウラー━


我が国風の国アウラーはアナトレー山脈の南から北東にかけて統治している。

人口はおよそ1000万人(すべてがエルフ)

首都は調和の都シュンフォニア

人口の大半はエルフが占めており、獣人とドワーフが1割。そして、ごくわずかな人間が住んでいる。

国政は王政となっている。

隣国のリブマ王国とは貿易を中心に友好関係で、アウラー・リブマ平和条約を結んでいる。クリオ民国とはヴォラス条約で技術と戦力の共有を約束している。

隣国テルモン王国とは冷戦状態であり、クリオ民国に行くのには南を回るしかなくなっている。

我が国の主な国益は風花とアナトレー山脈の鉱石であり、国益の9割を占めている。


次のページをめくると首都シュンフォニアのことについて書かれていた。


━首都シュンフォニア━


我が国の首都シュンフォニアは調和の町であり、エルフはもちろん獣人、ドワーフ、ヒューマン、リザードマン、ドラゴニアンが共に暮らしている。

それぞれの種族に居住区があり、我が国自体に居住しているわけではない。

場所はバゾ湾の北。面積はおよそ1000km2。都市は円形になっており、中央にはアウラー城がある。


パタン


わたしは本を閉じる


エルピス(シュンフォニアかぁ。いってみたいなぁ。にしても、あまりにも簡略化されてないか?)


外を見るともう夜になっていた。


ガチャ


エテレ「エルピス。ご飯よ」


母が夕食を運んできた。


エルピス「ママ。シュンフォニアってどんなところ?」


母はなぜか驚いた顔をした


エテレ「そうねぇ…。平和な所よ」


エルピス「ママは行ったことあるの?」


エテレ「あるわよ。街並みがとてもきれいだったわ」


少し動揺をしているように見えたが気のせいだろうか。



つづく


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