八通目 まるで夫婦のようだ①
「はぁ、今回もなかなか面白かったなぁー。里美さん、全部読み終わりましたよ!」
「ありがとう。じゃあその辺に置いといてくれるかしら」
「分かりました。それにしても、本当にいいんですか?ご飯までご馳走になっちゃうなんて……」
「いいのよ。私が誘ったんだから」
ザクザクと野菜を切るおと、包丁がまな板と接触するトントンという音が台所から聞こえてくる。鍋の沸騰した水がグツグツと鳴る音もとても心地よく感じる。
なんだか、新婚さんみたいだなぁ〜。
料理をしている女の人の後ろ姿は最高だ!
ただ、少し気になる点があると言えば——
「どうして裸エプロンなんですか」
俺の言葉に、彼女はビクッと反応した。
「た、たまたまよ…っ!」
なんと見苦しい言い訳なんだ。
嬉しい、嬉しいけども!それだとご飯をいただく前に里美さんを美味しくいただいちゃいそうですよ!後ろ姿しか見えないとは言え、
細い腰から続く、大きすぎず、小さすぎずな柔らかそうなお尻についつい見惚れてしまう。
里美さんの趣味は分かってるけど、ここまで出されるとビックリしちゃうよなー。
彼女のお尻をつまみに、茶を啜る。
絶景かな、絶景かな。
そうやって和んでいると、突然里美さんが『あっ!』と声をあげた。
「卵きらしちゃった…」
「それなら俺がすぐ買ってきますよ!」
「こんな姿じゃ外に出れないし、お願いするわね」
「はい!」
男の俺の前でその姿でいるのもどうかと思いますけどね。そんなことは口に出さず、俺は近くのコンビニへ向かった。
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