三通目 お姉さんの本当の姿②

「あの、お姉さん、俺はどうしたら……」


 静まりかえった部屋に一人。

蝉の鳴き声だけが耳に入ってくる。

お姉さんは隣の部屋に着替えに行ってしまい、荷物を運び終えた俺はただただ暇だった。


「——大丈夫、もう準備できたから」

「準備ってなんの……?」

「あなただったら受け入れてくれるって思ったの。だから、驚かないで見てくれるかしら?」

「あっ!部屋の片付けなら余裕っすよ!」


 戸惑った末にたどり着いた答え。部屋の片付け。そうではないと思いながらも、気づけば口から出ていた。


「引かないでくれると嬉しいかな……」


 そう言ってゆっくりと開かれる襖の隙間から見える彼女はほとんどが肌色だった。


「これが本当の私なの……」


 部屋から出てきた下着姿の彼女を前に、俺は声も上げず、ただ静かに眺めた。

布の面積が少ない、ほとんど紐のような下着。

黒の透けたレースのショーツはとても大人の色気を醸し出している。

そして溢れんばかりの豊満な胸は、柔らかな曲線を描いている。ゴクリと喉を鳴らす。


「私、実は昨日みたいなおもちゃ以外にもこういうえっちな下着にも興味があるの……。どう、思う……?」

「す、すごく似合ってると思います!お姉さん、美人だし、そういう趣味の人なんて他にもいるはずですよ!」

「ふふふ、ありがとう。あなたなら、って勇気出した甲斐があったわ。——あら?下のムスコさんが元気になってるみたいだけれど」


 ふと、自分の下半身に視線をやると、お姉さんの言う通り、ムスコが元気になっていた。

気持ちは分かるけど、今じゃないだろぅ!?

慌てて両手でブツを隠し、彼女に挨拶をする。


「ちょっと反抗期みたいで!それじゃあ荷物もお届けしたんで俺はもう失礼しますね!お茶、ありがとうございました!」


 笑顔で手をひらひらと振ってくれる彼女を背にして、俺は部屋を出た。


「これから気まずすぎるだろーッ!!」

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