二通目 お姉さんの本当の姿①

「買い物が多くてごめんなさいねー」

「いえ!これが俺の仕事なので!」


 少し大きめなダンボールを、指定された場所に置いて汗を拭う。例のお姉さんの部屋へ配達に来た。


「——物が少ない部屋ですね」

「最近引っ越してきたばかりなの。だからしばらくの間お世話になっちゃうかも……」

「どんな重たい家具でもお任せください!」

「うふふ、どうもありがとう」


 そう言って彼女は冷たい麦茶を渡してくれた。これってある意味お部屋デートなのでは!?そんなおかしなことを考えていると、お姉さんが顔を赤くしながら俺の袖を掴んだ。


「昨日のこと、覚えてるかしら……?」

「あっ、はい、まぁ……」

「本当に引いてない……?」

「ぜんっぜん、そんなことないですよ!」


 俺の顔を覗こうと少しずつ身を寄せてくるのはいいけど、胸が当たってる!!

ものすごく柔らかくて吸い込まれるみたいだ!


「気持ち悪いとか思わなかった?」

「はい!思ってません!だからその、そんなにも近づかれると!——あっ!」


 りきみすぎたせいで手に持っていたコップが滑り、お姉さんに麦茶がかかってしまった。


「ご、ごめんなさい!」

「ううん、私の不注意だから。気にしないで」


 気にしちゃいますよ!だって透けてますもの!というかノーブラだったのか!?

 彼女の胸の谷間を滑り落ちる水滴にゴクリと喉を鳴らす。肌に張り付いたシャツが内側を透かす。


「そんなにも見つめたらダメだぞ、少年」

「い、いや!見てません……」

「まぁ、あなただったら少しくらいいいのよ。でもずっとこのままっていうわけにはいかないから着替えさせてもらうわね。少し待っててくれる?あなたに見てほしいものがあるの」

「分かりました!」


 お姉さんは別室に着替えに行き、残された俺はただ一人、茫然と立ち尽くした。

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