高校二年の宇城雅虎には密かに気になる女子がいる。隣の席になった琴坂雅だ。彼女はいつも無表情で誰とも関わらずにいる孤高の美少女だった。
何故か人を遠ざける琴坂さんに惹かれた雅虎は、彼女がとある騒動により人間不信になってしまったことを知る。
同じように他人に裏切られた経験がある雅虎は、傷ついた琴坂さんを見捨てておけず、彼女が少しずつクラスに馴染めるように手助けしていく。
そんな雅虎に琴坂さんも少しずつ心を開いていた矢先、因縁のある人物からの横やりを受け、二人の仲は拗れていってしまう……。
再び笑顔を失ってしまった二人のため、立ち上がる友人たちの友情が胸を熱くさせる。
恋人にフラれたり、友達に裏切られたり、人間関係の悩みは現代の中高生にはありがちだ。でも、傷つくのが嫌だから他人と関わらず生きていこうと考えるのは早計にすぎる。悩みから救ってくれるのもまた、恋人や友達の存在だろう。
大切なのは自分から一歩を踏み出す勇気だ。失敗してもいい、間違えてもいい、止まらなければきっと誰かが助けてくれる。愛情と友情、人間の温かさを感じる作品です。
(「隣人ラブコメ」4選/文=愛咲 優詩)