2話 大自然の中
「着いたー!」
「そうだね~」
私、
1泊2日の旅行である。
2人でどこかに宿泊込みで出掛けたのは初めてのこと。
とてもワクワクドキドキしている。
「ふれあい体験とか出来るけど、もうなんか、散策だけで満足しそう」
「こんなに広い大自然ならね」
ここは国内最大の農場。
大自然を見たり、また牛や羊を眺めたりと、それだけで癒される。
体験だと、動物とのふれあいが出来て、牛乳でバターを作る体験もある。
レストランやお土産屋さんも充実している為、ここにずっといるのもありである。
「とりあえず散策しますか」
「だね~」
さっそく歩いて散策をすることにした。
※
歩いて散策した時、1本の桜の木を遠くから見た。
「春に、また行くのはどう?」
優しい声音で挑夢君は言った。
「春?」
私は聞き返した。
「きっと綺麗だよ~」
「だよね」
また1つ、2人の楽しみが増えた。
ミニチュアホースとのふれあい、牛乳からバターを作って、お土産屋さんでたくさん買って、レストランで美味しいご飯を食べて。
たくさんの思い出を胸に閉まって、今はホテルにいた。
※
「楽しかったー!」
「良かった良かった~♪」
ベッドに私は寝転がる。
挑夢君は隣のベッドに座っていた。
「先にお風呂良い?」
「どうぞ~」
私は部屋に付いているお風呂に先に入ることにした。
なんだか念には念をという感じで、丁寧に洗った。
湯船に浸かり、少し考える。
どうなるのかなー…。
なんにもないかもしれない、起こるかもしれない。
私はどちらに転んでも良いと思っている。
起これば覚悟はするし、なんにもなければせめて同じベッドで寝たい。
のぼせない所で私は上がった。
寝る時の服装は、Tシャツに短パンなのだが、今回は可愛い水玉模様のあるパジャマにした。
「上がったよー!」
「は~い、じゃあ行ってくるね~」
挑夢君はお風呂に行った。
彼がお風呂に行っている間に、私は持ってきたドライヤーで髪を乾かした。
※
「いや~、気持ち良いね~♪」
「それは良かった!」
やってみたかったことの1つである、彼氏の髪を乾かすこと。
挑夢君は気持ち良さそうにしている。
「おーわり!」
「ありがとう♪」
髪質は柔らかかったから、触っていて羨ましいと思った。
私の髪はさらさらしていても、かたい感じがして、潤い足りないのかなと悩んでいる。
「なんのシャンプー使ってるの?触り心地良かったから」
「あはは」
なんて話をしながら、ゆっくりと寛ぐ。
1時間は話し込んでいると、眠気が少しずつ襲ってきた。
「そろそろ寝ようか?」
「う~ん」
なんにもない、なさそうだ。
眠くて、でも、お願いを言いたくて。
うとうとする私は、挑夢君にもたれかかった。
「つばめ、大丈夫?」
「挑夢く~ん…」
高校卒業後から私のことを呼び捨てするようになった挑夢君。
最初は驚いたけど、今は慣れて平気に。
「一緒に…いっ、しょ、に…」
「一緒に?」
頑張れ私と、眠気に打ち勝つように、最後の力を振り絞る。
「一緒に…同じ、ベッド、がーいい…」
言ってしまったあああー!
と恥ずかしい気持ちになってはいるが、もう眠気の限界はきていた。
「いいよ、このまま、おやすみにしよっか~」
そう言って、挑夢君は私をゆっくりと寝かしてくれた。
そして電気を消して。
「寒くない?暑いかな?」
「だ、大丈夫…でしー…」
「よしよし」
挑夢君の優しい声と、頭を撫でてくれたおかげで、私は静かに眠った。
「おやすみなさい、つばめ」
次の日起きた時、隣に彼が寝ていて驚いた。
同じベッドで寝たことを思い出し、ドキドキしてしまった。
寝顔が可愛いと思って、頬をつんつんしたのは秘密。
※
同じベッドで寝たいと聞いて、大丈夫かなつばめはと心配した。
僕だって男子だ。
何か起こるかもとか思わなかったのか。
でも、信頼されている証と思えば良いのだろう。
交際中は手を出すことはしないと決めてはいるが、もう少しガードしてほしいかなと思う。
なにはともあれ、彼女の可愛い寝顔、パジャマ姿に、ドキドキして眼福だな~と思ったのはここだけの話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます