12話 甘い香りが漂う女子会
「さて!始めるよー!」
「「おぉー!!」」
私と
3人それぞれ持ってきた物をテーブルに置いて、エプロンと三角巾を着けて準備万端。
「では、第1回バレンタインチョコ会議を始めまーす!」
つばめは高らかに宣言。
「会議じゃなくて、手作りでしょ!」
私がすかさず突っ込んだ。
「はいはい、んで何を作んの?」
里が冷静にまとめる。
「私はチョコを溶かして、牛乳を混ぜて、型に流して冷やし固める!」
「凝ったのにしないの?」
「ド定番が良いんだよん♪」
つばめの考えは予測不能だ。
「里は?」
「私はトリュフだよ」
「へぇー!」
チョコトリュフかぁ。思い付かなかった。
「
「私はチョコレートクッキーにする」
いろいろ調べたけど、日保ちするクッキーにした。
「じゃあ始めようか」
「「はーい!!」」
3人それぞれ手作りチョコ作りを始めた。
※
作りながらたまに話して作業をしていた。
私はなんとなく気になったことを聞いてみることにした。
「里?」
「なに?」
「里って…
「ふぇっ!?」
持っていたゴムベラを落とした里は、急いで拾って流しに置き、慌てて水道でキッチンペーパーを1枚を軽く濡らし、それを床についてしまったチョコを拭き取り、キッチンペーパーはゴミ箱へ。
次にゴムベラを洗った。
几帳面だからか、彼女の身体は自然とアクシデントに対応していた。
それでも分かるくらいに、物凄く動揺している。
顔なんて真っ赤っか。
「ど、どうしたの急に!?」
「いや…だって気になって」
「私も聞いてみたかったー!」
どさくさに紛れてつばめも反応する。
全く調子良いんだから。
「2人共、分かってたの?」
おそるおそる里は私とつばめに聞いた。
「分かりやすかったよね」
「あれ分かんないなんて、さすがだよ磯辺君」
そう、彼は全く気付いてなんかいないのだから。
「いつから?」
「それはー…その…」
恥ずかしそうに里はこう言った。
「去年なんだけどね」
里と磯辺君は去年から同じクラスで、よく目立つ彼を見て、最初はチャラい感じと捉えていた。
でも、文化祭準備期間では誰よりも作業を率先してやり、時に指示を出してまとめていたそうだ。
里はその様子を遠くから見ていて、しっかりしていて、凄く働くじゃない、と尊敬の念が芽生えた。
もちろん普段の彼は、クラスのムードメーカーで目立ちたがりで、可愛い女子を見ると鼻の下を伸ばしている、普通の男子であるが、話すと楽しくなっちゃう不思議。
いつの間にか気になる存在となっていたそうだ。
「そうだったんだ」
「2年になっても同じクラスだから、嬉しくて嬉しくて」
「良いね~♪」
「雅とつばめのおかげで、話すようにもなったし、ありがとう!」
里の可愛い一面が見れて、私は嬉しくなる。
つばめも「このチョコがきっかけになりますようにー!」と、作っている菓子に向かって言った。
「私もチョコに念じとこ!」
「だね!」
3人それぞれ手作り
※
「「「出来たー!!!」」」
三者三様の手作りチョコが完成した。
早速、試食会が始まった。
まずは、つばめのチョコレート。
ミルクの甘味がチョコを優しくしていて美味しかった。
混ぜて型に流して冷やし固めただけなのに。
次に里の作ったトリュフチョコ。
ほんのりビターがアクセントになっていて、大人の味って感じだ。
中の甘いチョコをより引き立たせていて美味しい。
最後は私のクッキー。
生地にカカオのパーセンテージが高いチョコを混ぜて、型を取り、甘いチョコチップをちりばめて焼いた。
「美味しいじゃん!」
「あー、幸せ~♪」
「ありがとう!」
ふぅ…良かった…。
「これで渡せるわね!」
「どんな反応するかな~♪」
「ドキドキだね」
3人それぞれ緊張しつつも、愛情込めて作った手作りを、当日無事に渡すことが出来た。
美味しいって言ってもらえるかな。
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