第73話
バックにいて様子を見ていた。
気弱な
その様子を僕の隣にいた
「見てらんねー」
僕は「待って」と止めた。
「はぁ?困ってんだぞ藤!」
分かってる。
「大丈夫、待ってて」
そう言い聞かせて、僕はバックから出て行った。
悪いやつらがいなくなった後、先輩方や他にいた人達から拍手されて、恥ずかしくなった。
僕は何もしていないのに。
穴があったら入りたくなった。
※
「大丈夫だったでしょ?」
「
毎回、前置きというか、事前説明がないから、驚かされる今日この頃。
知りたいよな。
「
何を言ってんだか。
「つまり、こういう時は小祝君が出てくると思ったんだよ。これを見て」
挑夢のスマホには小祝のプロフィールが映し出されていた。
名前、生年月日、血液型、出身中学という基本情報があった。
そして、性格や生い立ちの所で目に留まる。
「性格…大人しい、寡黙、無口」
確かにそうだ。
「そんで生い立ちは…」
はい?
「挑夢、これって…」
「うん、さっきに繋がるでしょ?」
小祝はいわゆる、坊っちゃんだった。
親に干渉されることなく、小祝自身の気持ちに寄り添っていた。
習い事で良い結果を出すと、めちゃめちゃ褒められた、らしい(プロフィールの通りに読んでますから)。
母親は割りと分かりやすく小祝を愛情を持って育てていたが、父親は頑固で無口で放ったらかしなため、小祝は父親に似たのだろう。
5つ上に兄、2つ下に妹弟の双子。
その双子がいじめっ子達に泣かされていた時に、真っ先に助けに行ったのが小祝。
拳で返すのではなく、圧の強い態度で追い払ったそうだ。
「だから、か」
「うん」
ニコニコの挑夢。
「カッコ良い!」
と
「だね!」
と琴坂。
「あんな兄なら頼りになるー!」
とつばめさん。
「俺にはないな」
と
「ちゃちゃ入れなくても、解決しちゃうわけだよ♪」
最後の1つだったマカロンを頬張り、至福の時を過ごす挑夢だった。
※
バックにいて見守っていた私。
出たかったけど、身体が動けなくて、足はガタガタと震えていた。
私の隣にいた
湊君も口をあんぐりと開けて呆然。
何を考えているのか、何にも言わないから、よけいに驚いた。
「聡希、すんげーな」
と湊君。
「訳分かんないんだけど!」
と絢子ちゃん。
「あとで、もっと聡希のことを知るために、プチ会見させなきゃ!」
絢子ちゃん、変なこと言ってるし。
「ありがとうって言わなきゃ…」
あとで、ちゃんと。
2人の時にしようかな。
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