第67話

 雅虎まさとら君に、制服を直したのか、と聞かれて「うん」とは言ったけど。

 本当は、元々少し大きめになっていたことを、制服を着た時に気がついた。

 さすがにYシャツはどうすることも出来ないから新調した。

 冬服も一応着てみたら、やっぱり大きめになっていたから、ピッタリだった。

 身長が伸びることを仮定していたのだろう。

 良かった、感謝です。

 あーあ、萌え袖が出来なくなった…残念。

 可愛いじゃん、萌え袖!

 あとは、手が冷たい時によく引っ込めていたから。

 手袋の準備をしとかないとだね。

 男子の視線が痛いけど、仕方がない。

 つばめとさとが、背中を押してくれたから。


 2学期がもうすぐの時に3人で遊んでいた時のこと。

みやび、2学期から、大胆にならない?」

「だ、大胆って?」

 里は何を言ってんだろう。

「その胸、ありのままにしたらってこと」

「ふにゃっ!?」

 変な声が出ちゃった、ごめんなさい。

 周りのお客さんの視線がー…。

「いや、だって、恥ずかしいもん」

 こんな胸、なんでデカくなったんだ。

 悩ましいよ、嫌だよ。

「出すとこ出そう、みぃ!」

 つばめまで…味方が…。

「夏服なんて、9月までなんだし。10月から衣替えで、冬服にすれば目立たないよ」

 そうだけど…1ヶ月間は、苦しいよ。

「きっと雅虎君、期待してんじゃないかな?」

 うぅっ…彼のことを出さないでよ、ズルい。

「てなわけで、カラオケの前に、行きますかつばめ!」

「イエッサー、里隊長!」

 つばめは敬礼ポーズで応える。

「えっ?えっ?」

 2人の後を慌ててついて行った。


 今は昼休み。

 空き教室で里と2人でいた。

「この前私とつばめが選んだやつ、どっち着けてんの?」

 手で頬を触らなくても、顔が赤く熱くなるのが分かる。

「2人が選んだの、可愛くてもったいないから、家にあったやつを」

「どれどれ~」

 里の手はやらしい手付きに見えていた。

「大丈夫大丈夫、誰も来ないし、カーディガン捲るだけだけ」

 むむっ…あっ、怪しい…。

 ジト目で訴えたけど、効果なし。

 私の着ているカーディガンをガバッと里は捲った。

「ちょっと!?」

「うん、キャミで見えない…なら」

 今度はYシャツの上の方のボタンを外した。

「うわぁぁ!?」

「これかぁー!チラッと見えた!ありがとう♪」

 満足した里。

「もぅ…!」

 自分でボタンをかけ直し、制服を整えた。

「水色たぁ…爽やかだねぇー」

 ニヤニヤしてる…あぁ恥ずかしい!

「里はどうなの?」

「私?私はね、ほらこんな感じ」

 里はサラッとYシャツの襟付近をずらした。

 わっ…大人っぽい…。

「はーい、お仕舞い」

 そう言って、里はYシャツを整えた。

 ほんのり頬は赤い。

「お姉さんみたいな…だった」

 私はまだまだ、知らないようだ。

「初心者だねー、後でつばめと会議しよっと!」

「ダメダメ!あと見せないからね!」

「どうだかどうだかー♪」

「面白がらないでよ!」

 里といると、つばめの時と同じかそれ以上に調子が狂っちゃうから、困ってしまう。

 2人揃うと大変だけど。

 でも、楽しいから良いけどね。

 

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