第65話
花火を見終わってから。
俺と
現地解散のように散らばった。
※
「花火、綺麗だったね!」
「そうだな」
本当は2人で見たかったんだが、仕方がない。
「私、枝垂れ桜みたいな花火が1番好きなんだ」
あの花火は、でっかくて綺麗だよな。
「見ていて、ちょっとだけ湿っぽくなるのが、なんかグッとくるの」
「そうなんだ」
「よっぽどのことがない限り、夏にしか見られないからね、花火って」
確かに。年に1度、夏にしか見られない。
そんなイメージはある。
それだけ、貴重な存在。
夜空に大輪の花を見られる、それが花火。
「また一緒にー…その時は2人きりで」
ドキッ…。
恥ずかしながら言うから、余計に響いた。
「約束な」
「うん、約束だよ」
それからは、2学期に入ってからの事を話ながら、無事に琴坂を家に送り届けた。
ちゃんと言えば良かったな。
綺麗だよ、似合ってる、なんて。
でも、言えなかった。
何故か?
あまりにも、綺麗だったから。
普段の眼鏡はなく、多分コンタクトだったのだろう。
胸の辺りなんか、海の時と同じくらいに主張していて、琴坂を見たくても出来なかった。
送り届けた時に、目に焼き付けるように見納めしたが、いつもと雰囲気が全く違っていた。
大人っぽかった。
きっと、つばめさん達女子のみんなで、琴坂をコーディネートしたのだろう。
ドキドキした、ドキドキした。
「ただいまー」
家に着いた。
「兄ちゃん、おかえりー!」
特撮の緑のお面を頭の所に斜めにつけて、出迎えた
「どうだった?」
「楽しかった」
「
ん?
「幸虎…まさか…」
「みーちゃったー!」
逃げやがったな幸虎。
「おーい、マジかー!」
俺は直ぐ追った。
「きゃははー!」
その後、幸虎を捕まえて、脇をこちょこちょしていたら、母さんに「うるさい!」と怒られたのだった。
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