第51話
厄介事が出来て、大変嫌なんだが。
「よっ、兄貴!」
「ふざけんな」
「
「止めろ」
「
「ないっての」
後輩に慕われるのは良いのだが、普通が良かった。
「やれやれ…」
心の内が言葉となって、口からポロッと出た。
そういえば、
なんだか、琴坂に似ていると思った。
雰囲気というか、なんというか。
あの子もずっと1人で過ごしていたのかなーと。
絢子のことだ、じっと見て勝手に解釈して、無理矢理連れて来たのだろう。
あとで、あの猛獣に代わって謝罪せんと。
あのうるさい絢子と友達になれば、きっと心強いと思うんだよな。
あの姉にしてあの妹ですから。
あと、
※
ドキドキした。怖かった。
後ろに隠れて様子を見てはいたけど、凄く怖かった。
口から内臓が、心臓が飛び出そうなくらい。
「
満面の笑顔で
「いえいえ」
もう嫌だ。絶対先輩の学年の階に行かないからね。
「また何かあったら、よろー!」
軽い…軽すぎ…。
私の気持ち、考えて。
「ところで、弓削さん?」
「はい?」
今度は何?
「下の名前なんだっけ?」
「み、
話さないから忘れられるのは当たり前。
慣れてるから平気。
「澪那…澪那…」
私の名前をぶつぶつ呟き、そして何かを閃いた森枝さん。
「みおなん!」
えっ?
「ねぇ、みおなんって呼んで良い?」
興奮ぎみに私に提案した森枝さん。
「私のことは、絢子で良いから!」
えっえっ?
頭が混乱したが、心を落ち着かせてから。
「良い…よ?」
OKをした。
「ありがとね!みおなん!」
“みおなん”…悪くないかも。
はっ!ダメダメ!油断大敵。
建前の付き合いに止めとこう。
傷付いた時、余計に後悔しちゃうから。
※
弓削は何に警戒してんだ?
警戒より怖がってるように感じる。
気になる。マジで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます