第50話
入学して1ヶ月。
もう先輩の学年の階に侵入しても大丈夫なはず。
驚くかな?
あっ、姉さんがうちのことを言ったから…残念こ。
とりま、ちゃっちゃと会いに行きますか。
でも1人は嫌だなー…あっ、あの子。
ずっと1人だから、気になってたし、これをきっかけに仲良くなろう。
むふふ、そんで、誘っちゃえ。
※
「怖いよ」
「怖くなんかないから!ね?お願い!」
いきなり話しかけられて、3年生に用事があるから着いて来て、と誘われてます。
私、嫌なんだけど。トラウマあるし。
「着いて来てくれるだけでいいから!一言も言わなくていいからー!」
そんな…うーん…。
「着いて行ってやれよ」
「「えっ?」」
頬杖をついてふて腐れている隣の男の子。
「おー、なんちゃってヤンキー君、加勢してくれるのかい?ありがたや」
「ふん、名前で呼べ」
「あはは、ごめんなさい!瀬戸君!」
あー、ますます調子に乗るじゃん!
「つか、俺も行く」
「マジで!?んじゃさ、3人で行こ行こ!」
「えっ?えっ?」
「分かった。昼休みな」
「ラジャー!」
敬礼しないでよ!
巻き込み事故だ…とほほ。
※
「久しぶりだね~みんなで集まるの~」
と
「だな」
と俺。
「あれ以来だね」
と
「事件だったあの日!」
と
「大袈裟に言うなよ」
と
今日は学校だからとつばめさんは断っている。
空き教室で昼食を食べている俺ら。
もう少し暖かくなったら、あの健康坂にと思っている。
最終学年になっても、こうして変わらず過ごせるのは有難いことだ。
「なんか廊下が騒がしくない?」
そう言って宮司はドアを少し開けて様子を見る。
「ちょっと!」
手招きされたので、みんなで廊下の様子を見てみる。
「あっ」
「ん?」
俺と挑夢は顔を見合わせた。
「なんか~、いたね?」
「あぁ…いたな」
姉より小柄な少女。
スカートの丈は姉よりも短いが、かといって周りの女子よりも膝下の丈の長さ。
髪型はサイドテール。
活発な印象に見える。
「挑夢、一旦忘れよう」
「そうだね~」
そう言って俺と挑夢は元の位置に戻る。
見なかったことにしよう、そうしよ…。
「いたー!虎兄!」
バレた…。
「挑夢君も!」
「あはは…」
苦笑いで対応する挑夢。
「この子…は?」
恐る恐る琴坂は俺に聞いてきた。
が、答える前に本人が言った。
「貴女が琴坂先輩ですね?姉さんから噂は聞いてます!」
「えっ?お、お姉さんって…」
「はい、私、森枝といいます!」
すると琴坂は「あー!」と思い出した。
「
「はい!
「そうなんだぁ」
素性が分かったからなのか、琴坂は一気に警戒心を解いた。
「なんで来た、絢子」
「姉さんがいたから入学したのさ」
ドヤ顔、本当に姉妹だな。
「絢子ちゃん、またよろしくね~」
「うん!」
挑夢はよろしくと言ったが、本当は絢子が苦手。
ぐいぐい押す所が半端ではないから、引いてしまうと、なるべく会いたくないとも言っていた。
後ろには友達らしき女子生徒がいた。
おろおろと俺ら3年生にビビッているようだ。
さらに隣には。
「あれ?
なんで…いんだよ!
「
「そっかそっか」
あーあ、何でイラついてんだよ。俺は子供かよ。
「あの…」
「…!?」
ちょい待て、話しかけてきた。
「何だ?」
ここはクールに大人の対応をしよう。
ドキドキしていると。
「
頭を深々と下げた瀬戸。
「は?」
俺、今、間抜けな顔をしている、分かってる。
突拍子のない言動に動揺したが、深呼吸をして。
「分かってる」
この一言で精一杯だ。勘弁してくれ。
「安心しました」
見た目に反して、良いヤツかも。
「あの、もう1つ良いっすか?」
何だよ何だよ…。
「兄さんって呼ばして下さい」
えっ…。
「いやいや、止めろ止めろ」
「マジで、お願いします!」
「えー…」
ただの後輩でいてくれよ。
「慕われたね
「あー…はは」
とんでもないことになったもんだ。
「兄さん…くっくっくっ」
「笑うな磯辺」
「ふふ、面白い!」
「宮司まで」
頭を抱えて溜め息を吐いた。
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