第二部

第48話

 4月。新学期。

 クラス替えはなく、持ち上がり。

 担任すら変わらなかった。

 新学期初日と言うことで、出席番号順に座る。

 新学期あるあるだ。

 はぁ…遠い。

 俺は廊下側から1列目の1番後ろ。

 琴坂ことさかは廊下側から3列目の1番前。

 遠すぎる…。俺、死にそう。

 んで、俺の前には。

「よっ!元気出せや!」

 磯辺いそべよ、元気出るか。

さとがなんとかするって言ってたんだし」

「だけど…」

「そろそろなんだし、待て待て!」

 宮司みやじがまた学級委員長になったから、その特権で席替えやる方向で考えているらしい。

「それじゃあ宮司、後は任せた」

「はい」

 宮司は前に出て、チョークで黒板にデカデカと“席替え”と書いた。

「やろう、席替え!」

 するとクラスメイト全員「やったー!」と大喜びしたのだった。

「では好き勝手も良いけど、ここは私達の進路が希望通りになることを願って運試しで、くじにしよー!」

 すると教卓の下から箱を出した。

「準備万端、さあ引いて!」

 と言うことで、くじ引きが始まった。

 宮司…好き勝手に席替えやりたかった。

 奇跡…起きてくんないかな…。


「はい、じゃあここに出席番号1番から順にネーム貼ってって!」

 ネームを黒板に貼っていく。

 俺はというと、窓側から1列目の1番後ろ。

 去年と同じじゃねーか。

 琴坂の番がきた。

 なんだか嬉しそうに見えるけど。

「あっ…」



「また隣になったね」

「うん」

「嬉しい?」

「うん」

「うんしか言ってないけど?」

「嬉しすぎて言葉が見つからなかった」

「なにそれ!」

 笑う琴坂。つられて俺も笑う。

 去年とは違う。

 あったかい感じ。

「お熱いことで!」

 俺の前に磯辺。何でだよ。

「あー、まだ春なのにー!」

 琴坂の前に宮司。嘘だろ。

 仲良いメンバーが集まった。

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