第47話
卒業式が終わった。
一応、俺と
花束を渡す代表は、俺と琴坂。
「入りますか?」
「うん」
ノックすると「どうぞー」と声が聞こえた。
ドアを開けて入る。
「よっ」
「あら、
あれ、俺は俺?
「おい、杏子」
「なーんだ、いたんだ」
「こんにゃろう…」
いつものことを今日くらい、やんなし。
「やあ2人とも」
奥から金戸先輩が現れた。
「
「ありがとう、
金戸先輩にも、杏子にも会えなくなるのか。
「これ…花束です」
「うわぁ!ありがとう♪あっ、真ん中はお菓子ー!」
「どうぞ金戸先輩」
「ありがとう!」
嬉しそうに喜んで貰えて良かった。
「こぶりですが」
「これくらいが良いんだよ」
「デカイとさ、飾るの大変だし」
そうだと思って小さめにしたわけです。
「あとで
「まっ、着いて来てって言うなら行かなくもないけど?」
素直になれや。
「そんじゃ行くぞ」
「しょうがないなー」
渋々な雰囲気を出しているのに、どこか楽しそうな杏子。
なんだかんだで、そうだよな。
※
俺と杏子に挑夢が合流。
琴坂は遠慮して帰った。
「高嶺の華だね~」
「ヤバッ!世界が違う!」
「こんな所で大丈夫だろうか」
雅深が通う女子高前に3人で待機していた。
一応杏子から連絡はしてあるが。
「応答ない…見てるかな?」
不安になる俺達。
すると、「皆様!」と声をかけて来たのは、
「雅深様から連絡を頂きまして、探しました」
「申し訳ございません、迷惑かけてしまって」
「いえいえ」
相変わらず大変そうだな。
「今は雅深様は旦那様奥様とお話されておりまして」
違和感しかない。
「あの…田所さんもしかして、ボディーガードから執事になりましたか?」
なんか、ね。
「は、はい…転職とはいえ、執事として仕えております」
やっぱりな!
「執事って凄いじゃないですか!」
興奮する杏子。
「カッコいいですね~」
羨望の眼差しで田所さんを見る挑夢。
「いやいや、そんな…」
謙遜する田所さん。
「そろそろこちらに来られるはずですが…あっ、いらっしゃいました」
雅深と両親が現れた。
「先に行っている」
「また後でね」
「うん、お父さんお母さん」
「こちらへどうぞ」
田所さんは雅深の両親を車へ案内していった。
「待たせたわね」
「遅すぎ」
「それで何?」
「は~い、これ♪」
挑夢は雅深に花束を渡した。
「わあ、可愛い♪ありがとう♪」
喜ぶ雅深。
「みんなで準備したんだ」
「そう…本当にありがとう。他校の私にまで気を遣わせてごめんね」
「いいのいいの~」
「そうそう」
「はぁ…可愛いお姫様には敵わん」
4人で笑い合った。
「ところで杏子、4月からは?」
「あたしは専門学校。雅深は?」
「私は短大」
本当にバラバラになるんだ。
「何々、坊やたち?寂しいの?」
杏子はニヤニヤする。ムカッ。
「いや、別に」
「うん、別に~」
と俺と挑夢。
「素直になってよ2人とも」
雅深までニヤニヤして。
「悪いお姉さま方だな挑夢」
「本当にそうだね~
「さっさと帰ろうか」
「だね~」
と俺と挑夢は帰ろうとすると。
「ごめんごめん、あたしと雅深が悪かった!」
「うん、私と杏子が悪かったよ!」
仲良しだこと。
「しゃーないな」
「もう少しいよっか~」
なんて、何気ない会話をして、4人である場所に行くことにした。
※
「更地だな」
「なんもないね」
「ここだったんだよね」
「うん、僕達の出会いの場所」
更地になって、売り地と書かれた看板だけあるこの場所は、俺達が通っていた幼稚園の跡地。
「たくさん遊んだな」
「たくさん喧嘩したし」
「でも仲直りは早かったような気がする」
「楽しかったね~」
ここでの思い出は宝物。
生涯忘れることはない。
「またここ来ない?」
「良いなそれ」
「賛成!」
「1年後はどう~?」
「あっ、俺と挑夢の卒業式の日にするか」
「約束ね!」
「約束~」
「忘れないようにしないとだね」
「だな」
会える日が少なくなっても、1年後なら先着にしちゃえば良い。
4人で新しい約束と共に、女子2人の門出を祝福するのだった。
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