第44話

 隠しカメラを片付けて、磯辺いそべ君とさとちゃんとつばめは帰った。

 早く帰らなきゃと言っていた里ちゃんを送る磯辺君。

 つばめは見たいテレビがあるからとのこと。

 残ったのは、雅虎まさとら君と挑夢のぞむ君と雅深まさみさんと杏子きょうこ先輩とー…。


「ご、ごめん…もうダメだ…」

「はいはい、武蔵むさしは休んでて」


 ぐったりしている金戸かねと先輩。

 みんなで家の中に戻る時にバテバテで現れた先輩。

 今はお兄ちゃんのベッドで横になっている。


「無理して走るからだよ?」

「はい…」


 死にそうな顔をしている。

 大丈夫かな?


「運動からっきしダメなんだから、あたしに合わせないの!」

「うん…」


 どうやら運動はダメダメらしい。


「泳げない、滑れない、走れない、跳べない、球技も出来ない、団体競技は不向き…運動音痴なんだから」


 重度の運動音痴のようです。


「唯一の弱点…心にグサグサ刺さるんだけど…」

「傷ついたなら、めんごめんごー」


 仲良いんだなぁ…。


「さてと、雅深、話なさいよ」


 杏子先輩の威圧感がなんとも言えない。


「分かってるっての」


 促された雅深さんは深呼吸をする。

 緊張が伝わる…。


「あの…」


 こんなんじゃ、上手く話せないよ。


「ちょっと待ってて下さい!」



「お待たせしました、ココアどうぞー」


 私はココアを持ってきた。

 1人1人に配り、最後に雅深さん。


「これ飲んで落ち着きましょう」

「ありがとう…」


 みんなでココアを飲む。


「美味いな」


 と雅虎君。


「美味しい~」


 とのんちゃん。


「のんちゃんのには、牛乳とお砂糖を多めにしてみたんだけど」

「わぁ♪だから僕好みのココアなんだね~ありがとう♪」


 喜んでもらえて良かった。


「あったまるー」


 と杏子先輩。


「ふぅふぅ…」


 ゆっくり飲む雅深さん。


「はぁ…ありがとう、美味しいね」

「良かったです」


 これで上手く話せるかな。


「じゃあ、話すね」


 もう一度深呼吸をして、雅深さんはゆっくりと話し始めた。

 

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