第43話

「はぁ…良かったぁ…」


 僕は安心した。

 サプライズ成功だね。


「ううっ…良かった…」


 つばめちゃんは泣いていた。


「ごめんねみんな…」


 僕は謝った。


「言ってくれりゃあ、な?」

「そうそう」


 さとちゃんと拓郎たくろうは、少しふて腐れる。


「のんちゃん…もうこんな作戦ダメだよー!」

「うん、反省する」


 みぃちゃんに謝んなきゃ。

 あれ?


「なんか、3人していないんだけど~?」


 どこに消えたのか。

 全カメラを確認した。


「もしかして…」


 僕は窓に近づいて、カーテンを開けた。


「いた…」

「「「えっ」」」


 つばめちゃん達も窓の外を覗く。


雅深まさみちゃんと一緒に…杏子きょうこちゃんがいる!」


 とそこに、雅虎まさとら達もいた。



 とらちゃんが中に入った後のこと。

 あたしは雅深から離れて、対峙していた。


「なんで邪魔したの?」

「ふっ…のぞむぅに呼ばれたからマッハで来ただけだし」


 このチャンス、逃さん。


「ほんと杏子なんて大嫌い!」

「はぁ!?あたしだってアンタなんか!」


 このわがまま娘に、どれだけ振り回されたか。


「いっつも私がまさちゃんといると、必ず後から横やりして!」

「それは友達見つけたら話し掛けるし!」

「小中の時なんか、暴力でみんなを無理くりまとめて!」

「暴力は失礼よ!言うこと聞かないから力強くで黙らせただけだし!」


 なんか腹立ってきた。


「あんたなんか男子の前だとぶりっ子して、猫なで声で!」

「ちょっとだけ可愛く見せたいって思っちゃダメなわけ!?」

「可愛く見せたいってバカなの!?」

「杏子はガサツだから出来ないもんね!」

「あーもー!なんなのよ!」


 お互いに睨み合っていると。


「ほんと仲良いなお前らは」


「虎ちゃん!?」

「雅ちゃん!?」


 虎ちゃんが家から出てきた。

 後ろには原田はらだって人とみやびちゃんもいた。


「くくっ…息ぴったり」

「「んなわけない!!あっ…」」

「あはは!傑作だな!」


 虎ちゃん…。


「笑うなし!」

「そうよ!」


 あたしと雅深は虎ちゃんに抗議した。


「うわっ!悪かった悪かった」


 そんな虎ちゃんは平謝り。


「ほれ、行けよ原田」


 虎ちゃんは原田を外に出した。


「雅深…僕…」


 こんな弱っちいヤツなの?情けない。


「もう、関わらないでくれ…懲りごりだ…」

「原田君…私…」

「さよなら」


 原田はあたしと雅深の間をとぼとぼと通り、最後に「雅、ごめんなさい…さよなら」と言って、帰ってしまった。

 雅深は地べたに座り込んだ。


「もう台無し…」


 意気消沈。


「あんたが悪いんだからね」


 あたしは雅深にハッキリと言った。

 すると、スカートをギュッと掴んで雅深は俯いた。

 そんな彼女に虎ちゃんは近付こうとしたら、後ろにいた雅ちゃんが止めた。

 雅ちゃんは雅深ちゃんに近付いて、そっと抱き締めた。


「えっ?」

「辛かったんですよね?」


 目を大きく開き、驚く雅深。


「とても淋しかった…そうですよね?」


 優しくなだめるように。


「誰かに話していれば…こんなことにならなかったのに…ましてや、今までのことも無くて、もしかしたら雅虎君達とずっと一緒にいれたはずなのに…」


 雅深は「ぅっ…」と嗚咽をもらして泣き始めた。


「今、話して下さい?みんなで聞きますから…」

「ぅぅっ…ぅっ…」


 雅深が泣き止むまで、雅ちゃんは優しくなだめたのだった。

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