第37話

 これが成功したら、何もかもが思い通り。

 原田はらだ君、上手く出来るかな?

 失敗したら許さない。



「私…騙されてたってこと?」


 驚きが大きくて、暫く絶句していて、ようやく言葉が出た。

 私が原田君と会ってる所を雅虎まさとら君に見せて、すれ違いにするためにつぐみさんが仕掛けた罠。


「そういうこと」


 つばめと2人で、私の家にいる。


「だから、おかしかったんだ…」

「うん…」


 同じタイミングでコーヒーを一口飲む私とつばめ。


「みぃ、これからの事を考えよう?」

「つばめ…」


 ニコッと笑うつばめ。


「大逆転、するんでしょ!」


 そうだ、磯辺いそべ君が言っていた“大逆転”。

 上手くいくかな?

 そんな不安が過る。


「あっ…のんちゃんから電話だ」

「出て良いよ、つばめ」

「ありがとう」


 つばめは早速電話に出た。

 スピーカーにしてもらう。

 スマホをテーブルに置いて、つばめは言った。


「もしもし、のんちゃん?」

『つばめちゃん、みぃちゃん家でしょ?』

「もしもし、みやびでーす」

『あっ、みぃちゃん!』


 バタバタという音が聞こえてくる。


『ごめん、慌てちゃった。それでね』


 何故慌てたのかが気になるけど、グッと我慢。


『今から写真送るから見て!』

「「えっ?」」


 つばめはスマホを持って操作。

 すると、つばめの表情がみるみる驚きに染まる。


「なんてこった」

「どうしたの?」


 スマホを差し出された。

 画面を覗くと…。


「えっ」


 私は硬直した。

 身体中に寒気が走る。


「グルだったんだ…」


 送られた写真は、鶇さんと原田君が仲良く手を繋いで歩いている所だ。


『見た?』

「見たよ!」

「これ、誰が?」


 のんちゃん、危ない橋を渡ったんじゃ。


『これはね~、つばめちゃんと仲良くなった、高嶺の華のお姫様が送ってくれたやつでね~』


 いつの間にのんちゃんも仲良くなった感じなのかな?


『何かあれば写真でもメッセージでも良いからお願いしますって頼んでたからね~』


 つばめ、のんちゃん…将来は探偵さんになるのかな?

 向いてそう。なーんてね。


「黒いねー、この鶇さん」

『昔は真っ白だったのにな~』

「彼女をこうさせたのって…」


 やはり、父親なのかな。

 謎が深まるばかり。

 学習机に置いてあったスマホがブーブーと震えていることに気付く。

 見てみると、噂をすればなんとやら。


「つばめ…これ…」

「あら…」


 原田君からメッセージがきていた。


「見てみよう」

「う、うん」


 私はメッセージを開く。

 内容はこう。


『僕の家で、勉強しない?』


「危ない臭いがする…プンプンする…」


 つばめはムスッとした顔で、私のスマホを睨む。


「断りんしゃい!」

「うんうん!」


 私は“ごめんね”とメッセージを送る。

 すると秒で『何で』と返ってきた。


「つばめ、のんちゃん…考えてー!」


 私は2人に泣き付く。

 分かんないよ理由なんて!


「あっ…分かった!」


 ニッと口角を上げたつばめ。

 何か嫌な予感しかない。


「逆に呼びなさい!」

「えー!?」


 つばめの発想は予測出来ない!


『それ良いね~』

「のんちゃんまで!」


 なんなの2人とも!

 ちょっとだけ怒りそうになる。


「まず呼んで!あとで説明するから!」


 納得いかなかったら、直ぐ断るんだからね!


『家から出ちゃいけない日なんだけど、誰か呼ぶなら大丈夫だし、親いないから…家に来ない?』

『雅が良いなら!』

『了解』



「なるほど!」


 私は納得した。


「さて、明日から準備してこっと♪」


 面白がるつばめ。


『気をつけてね?危ないから!』

「ありがとう、のんちゃん」


 私は賭けに出る。

 ちゃんと準備をして臨む。

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