第28話
第2段階に進めようかな。
あの子はあの子で落とさなきゃ。
絶対、
※
ここ1ヶ月、雅虎君との会話が全くなくなった。
挨拶をすれば返ってくるけど、話しかけると素っ気ない。
休み時間はずっとスマホをいじっている。
誰かと連絡をしているのかな?
ネットサーフィンとか?
私は不安で堪らなかった。
今は昼休み。
緊張しながらいる。
初めて来た生徒会室。
「
「えっ、とぉ…」
杏子先輩、緊張度合いが上がります。
「更にビビらせたらダメだよ~
「ビビらせてなんか」
「いや、怖がってんぞ杏子?」
何故か生徒会長さんまでいるし。
「
「バレてんだから諦めろ」
「えっそうなの?」
杏子先輩、知らないの!?
「うん、僕知ってるよ?全校生徒、ほぼ知ってる感じだし~」
杏子先輩は目を大きく開いて驚いていた。
「秘密だったのにー!」
顔を真っ赤にして、先輩は嘆いた。
起伏が激しいのかな?大丈夫かな?心配。
「それじゃあさ、みぃちゃんの不安を解消するために、プレゼンを始めるね~」
そう、昼食を済ませて集まっている。
私の為に、ごめんなさい。
「あっ、待ってのんちゃん」
私はある人にスマホでリモートを繋げようとすると。
「あはっ、大丈夫。もういるよ~。つばめちゃ~ん♪」
『はいはーい!みぃ、いるから!』
「いつの間に!?」
いつから繋いでたの?びっくりだよ!
「これ、僕のパソコンでね~。生徒会室に先にいて繋いだんだ」
「そうなんだ」
「驚かせたいってつばめちゃんが言うから、ごめんね」
苦笑の中に申し訳なさが滲んでいる。
「ううん、気にしないで」
なんだか私、悪い事を言った感覚になり、シュンとなる。
「はいはい、気を取り直してプレゼン!時間ないんだから!」
「今日は特別時間割で昼休みが30分拡大だから大丈夫だって」
「あっ、忘れてた」
金戸先輩と杏子先輩が生徒会に入ってから導入された月に1回の特別時間割。
朝の1限目の授業時間を、読書の時間に当てている時間から始めて、10分の休み時間を5分に短縮する事によって、昼休みが30分拡大する事に成功。
5限目のスタートは変わらずであるが、それでも生徒にとってはゆっくり出来るから好評で、導入してからは、各学年の成績が上がったそうだ。
「じゃあ始めるね~。先ずは、
配られた資料を元に、のんちゃんは説明を始めた。
※
「てことは、今は雅深は父親が連れてきた女の人と3人で暮らしているってこと?」
腕を組んで真剣な眼差しでプレゼン資料に釘付けの杏子先輩。
「そういうこと~」
のんちゃんの情報ってどこから仕入れて来ているのかな?
とても気になる。
「次からつばめちゃんにバトンタッチするね~」
『あいよー!』
待ってました!といった顔で、つばめは意気揚々と話し始めた。
『のんちゃんに頼まれてさ!あの、高嶺のお華ちゃん達に片っ端から声かけて、その内の仲良くなったお姫様ちゃんからの情報なんだけど♪』
楽しそうだ、ノリノリじゃん、つばめ。
笑いそうになるのを必死に堪える。
『
「「というと?」」
続きを促す先輩方。息ぴったり。
そんな2人は驚いて顔を見合わせて頬を赤くした。
羨ましいなぁ。
つばめはそんな2人に気付いていないのか、話を進める。
『それがですね皆様、次のページをご覧頂ければと思いまする』
ページを捲る。
「うわっ…」
目をパチパチと瞬きをした。
『わがまま、上から目線、男にはだらしない、という負の面と。頼れる、友達思い、優しい、美人、憧れる、といった表向き。つまり、人によって性格が全く違うから謎すぎなんですよ!』
めんどくさい。
性格良いのか悪いのか、どちらなのか。
『ただ共通点はあったのさ』
「共通点って何?」
つばめはマグカップを口に運んで、ズズッとコーヒーを飲んで、テーブルにマグカップを置いてからゆっくりとこう言った。
『恐い、だって』
「「「「えっ」」」」
『何考えてるのか分からなくなる時がたまにあって、それが恐いってお姫様ちゃん達が言ってたの』
私はなんとなく分かった。
確かに、あれは分からないからこそ、恐くなる。
折れないように守っても、ふとした時に隙を見せたら、終わる気がする。
対面したからこそ、分かること。
「なるほどね」
「やっぱりスマホを持った時からだね~」
「きっとそうに違いない」
幼馴染みの2人が言うならそうなのだろう。
『私の推測なんだけどさ』
珍しい、つばめが発言するなんて。
聞き専門な彼女が、発言するという貴重に私は少し驚きつつ傾聴する。
『本当の母親が居なくなって、心配でスマホを持たせた父親。その心配が増幅した結果、新しい母親を迎える事で解決すると思ったら、グレてんじゃないかと思ってね』
なるほど…あるかもしれない。
『とっかえひっかえ男に甘えてストレス発散なんかね?』
だとしたら、親子ですれ違いが起こった結果じゃん。
「あの~」
「どうしたの、のんちゃん?」
「う~ん」
言いづらそうに、どうしようどうしようと悩むのんちゃん。
「のぞむぅ、隠してんでしょ?」
杏子先輩?
「悩んでいる時ってだいたいこの子は打ち明けパターンが多いから、どうなの?」
するとのんちゃんは深く息を吸って、ゆっくり吐いた。
「その、とっかえひっかえなんだけど、僕のせいかも」
『「「「えっ?」」」』
いきなり何を?
「とっかえひっかえを見付けた時に、内緒で僕は動いたの。雅深ちゃんに会って過ごしていた男達と接触して、脅して…もう会うなって…はい」
「はぁー?!」
大声を出したのは杏子先輩。
「えっ、だからとっかえひっかえ!?んなこと!」
「だって、ヤバい写真のデータとかあったから、削除させるために…」
そういうことだったんだ。
「だから、とっかえひっかえになったのは、僕のせいかもで…」
シュンとなるのんちゃん。
「あー、それはのぞむぅのせいじゃないし!あのバカの執着?みたいな感じでしょ!気にすんな!」
「杏子ちゃん…」
「今後一切勝手な行動は許さないからね!」
「はい、お約束します」
反省しちゃったのんちゃんだった。
「大丈夫?」
「ありがとう、みぃちゃん」
元気出して欲しいから、あとでお汁粉買ってあげようと、私は心の中で密かに決めた。
※
休み時間が残り10分の所で解散した。
後日またゆっくり話し合うことになった。
教室に戻る時にスマホが震えた。
あっ、もしかして雅虎君からかな!
期待に胸を膨らませてスマホを見ると、見知らぬ番号からメッセージが届いていた。
見てみると、驚いた。
『久しぶり雅。僕のこと、覚えてる?小学校一緒だった
一平君…あっ!
サッカーが上手なあの一平君!?
『久しぶりに会って話さない?』
私は早速メッセージを送った。
『久しぶり、誰から番号聞いたの?何はともあれ、会って話すならそうしよっか!あとでまた連絡するね』
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