第19話

 再び寝袋に入ったけど、眠れない。

 体育の時間の時に手を繋いで以来だった。

 あの時はちょっとだけ嫌だなって思いもあったけど、さっきのは全く違う。

 ドキドキして、聞こえちゃうんじゃないかと思って、嘘で眠いと言って手を離した。

 本当はもう少しだけ、もう少しだけー…と思っていたけど、ドキドキに勝てなくてギブアップした。

 それでも幸せだった。

 私と彼の関係が“恋人”だったら、もっとドキドキしたのかな?

 もっと幸せに感じていたのかな?

 他のみんながぐっすり眠っていて良かった。

 見られていたら、恥ずかしくて逃げたくなるから。


 分り合えたあの日から、彼のことをじょじょに好きになる自分に戸惑った。

 それをつばめに話したら『成長したねー!』て、何故か頭を思い切り撫で回してきて、髪がぐしゃぐしゃになったのにはイラッとしたけど。

 戸惑いがなくなると、ふとした時に彼のことを思い出して考えるようになっていた。

 これが、恋する乙女、なのだろう。


 それから、クラスのみんなとは文化祭の決め事をきっかけに仲良くなって。

 衣装合わせの時には、着せ替え人形のようになった私は、いろんな服を着た。

 その都度、可愛い可愛いって言われて、頭が混乱して、倒れそうになった。

 明日、あの服を着る。

 どんな反応をするのかな?

 緊張しちゃうけど、良い反応がくることを願ってー…。


 いろんな事を考えていたら、頭が疲れたのか、一気に睡魔が襲い、夢の中へ連れていかれた。

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