第15話
「なぁ
「何、
俺は疑問をぶつける。
「喫茶店、やりたいんだよな?」
「うん」
「でも、おにぎりがメインだよな?」
「あっ」
あの時、人の話をちゃんと聞けば良かった。
無関心、恐ろしい。
「今からでも間に合う、おにぎり専門店にしよう」
それしかない。
「でも…」
宮司は渋る。
なに、まだなんかあんの?
「接客組の服がさぁ…」
服がどうした?
「ちょっと来て」
てなわけで、俺は宮司の後をついて行った。
※
「これなんだけどさ」
「あぁ…」
とんがり帽子と魔女の服、浦島太郎風の服、桃太郎風の服、執事、メイド、ゴスロリ、ウサギ、クマ、サル…。
これは、コスプレ?
「みんな、これ着たいんだ」
はぁ…なんという。
「困ったな」
俺は頭を抱えた。
「もう変更出来ない」
変更出来ない、じゃなく、変更“したくない”だろう。
「あべこべが良いんだろう?」
「うん、そうだね」
「だから良いんじゃね?」
「ん?あっ!」
急に元気になる宮司。
なんか暴走しそう、止めてと思いつつ。
「看板はおにぎり専門店。店名は…」
かけれるな。
ちょうどポケットにあったメモ帳とシャーペンでサラッと書いて、宮司に見せた。
「仮装と仮想で、
「華やかだからか!なるほどねー良いかも♪帰りのホームルームでみんなに聞こう!」
その後、帰りのホームルームでみんなに聞いてみると、直ぐ承諾された。
あー、良かった良かった。
※
“おにぎり専門店・華そう”。
看板に書かれた。
習字を習っていた女子生徒の筆は素晴らしく、息をのむほどの魅力的な文字となった。
これであとは本番へ向けての準備を進めていく。
「どんどん文化祭って感じになってきたね」
「あぁ、賑やかだよな」
少しだけ心の扉を開いたら、
あの決め事の時がきっかけで、質問攻めされたそうだ。
そして俺もまた質問攻めをくらいヘトヘトになった。
なにはともあれ、クラスに溶け込んだことが大きな一歩。
少しずつ、歩み寄れればグッジョブ。
俺は見守るのみ。
「琴坂は何を着る予定なんだ?」
「ふにゃっ!」
可愛い声を発した琴坂。
「ひ、秘密!」
秘密、だと?
気になる。
「ヒントは?」
「だぁーめ」
マジかよ…。
「楽しみにしてるか」
「うん、そうして!」
似合うのはー…何でも似合うな。
楽しみが増えて俺は幸せだ。
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