第12話

 昼休み。

 いつもなら磯辺いそべと一緒なのだが断った。

 いつでもというか、あっちが俺に絡んでくるから、たまには断っても罰は当たらんだろう。

 というわけで、健康坂近くの木々が並ぶ日陰に、俺と琴坂ことさかと。


「いや~誘ってくれてありがとうね~」


 挑夢のぞむと3人でいた。

 琴坂のスマホにはもちろん。


『初リモート!ドキドキしていたら、雅虎まさとら君にまで居たしー!』


 つばめさんが画面に映っている。


「のんちゃんって…挑夢君、つばめと何が?」

「いやいや、何にもないよ~」


 ニコニコしている。

 いつもと違うニコニコだ。

 幸せのニコニコ、と見た。


「初めてだな、4人揃うの」

「そうだね」

「うんうん」

『いつか4人で遊ぼ!遊ぼ!』


 つばめさん、大興奮してる。

 今にも画面から飛び出しそうな感じがする。


「じゃあ、友達会開催~!」

「挑夢、ネーミングセンス」

「え~、他になぁい?」


 そう言われても。


「うーん…」


 琴坂、一生懸命考えてんじゃん。


『あっ!』


 いきなり大きな声を出したつばめさん。


『おつまみの会!』

「「「えっ」」」


 なんじゃそりゃ。


『ちょっと、なんで分かんないのー!?』

「分かんないし」

「俺ら未成年」

「説明してくれるかなぁ?」


 そうだ、説明だ説明。


『“お”はおまけ、あとは、みんなの名前の文字を取ったら“つまみの”になったの!』


 んーつまりは…あぁ。


『私、つばめの“つ”!』

「俺の雅虎の“ま”」

「私のみやびの“み”?」

「僕の挑夢の“の”、だね」


 それぞれ頷き理解した。


『てなわけで、おつまみの会開催ー!んで、結成ー!』


 パチパチとつばめさんが拍手すると、つられて俺達も拍手した。


『あとでグループ招待するから参加すること!』

「はいはい」


 琴坂は呆れていた。

 俺は彼女の肩をポンと叩く。

 ビクッ、と体が反応して驚いている。


「悪い」

「ぅっ…ううん」


 そんなビビんなし。

 小さい声で琴坂の耳元で質問。


「あんな感じなんかいつも?」

「うん、平常運転」

「へぇー」

「暴走したら面倒だから私がブレーキなの」

「なるほどな、お疲れさん」

「慣れてるから大丈夫。楽しいし」


 楽しいなら良いか。


「あれ~、2人して内緒話?」


 からかうな挑夢!


『一瞬の2人の時間、シシシッ』

「こらーつばめ!」

『あはは!おもろーい!』

「んもう!」


 顔を真っ赤にする琴坂。

 ゲラゲラ笑うつばめさん。

 そんな2人を見守る俺と挑夢であった。

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