第11話
公園を出て、途中まで
初めての頃よりも、今はだいぶ表情が柔らかい。
そう考えると、最初の頃、どんだけ嫌われていたんだよ。
「ここでいいよ」
十字路の所で止まった。
「左に曲がれば直ぐそこだから」
「なるほど、分かった」
俺は右に曲がって更に真っ直ぐ。
遠いな、なんて思う今。
「今日はありがとう」
「こちらこそ。つばめさんに宜しく言ってくれ」
「うん。ぽちゃお君…じゃなくて、
互いの親友に気を遣う。変なの。
「んじゃな」
「うん、明日ね」
そう、明日は学校だから。
※
久々の朝一。
緊張しながらドアを開けると、いた。
相変わらず、勉学に励んでんな。
「おはよう」
俺から言った。
すると、琴坂は顔を上げて俺の方を見て。
「おはよう、雅虎君」
ドキッ…。
「私、変な事言った?」
「いや、違う」
違う、全然違う。
高鳴る心を押さえ付ける。
落ち着け、落ち着いてくれ。
昨日、気付いた事を聞いてみる。
「なぁ?タメ口、だな?」
「あっ…」
琴坂はおろおろし出す。
「まだ…だ、ダメだった?」
俺は首を横に振る。
「そんなことない」
ちゃんと、言おう。
「嬉しいよ」
「よ、良かったぁ…」
ホッとする琴坂。
本当に友達になったんだな。
「名前呼びも嬉しい、ありがとう」
「!?」
さらにおろおろして、真っ赤な顔になる琴坂。
「あ、あ、あの!」
おっ、どうした?
はぁはぁ、と息を切らしながら。
「わ、私のこと…」
肩を上下に動かして。
ド緊張、してないか?大丈夫か?
琴坂は意を決して、俺の目を見て一言。
「名前、呼んで」
ドカーン!
俺の中で何かが爆発した気がした。
今日1日、持つだろうか。倒れそうです。
「頑張って呼ぶよ」
「頑張る事じゃない気がするけど」
「とりま、いつか呼ぶから」
「分かった、楽しみにしてる」
友達になったら、人懐っこくなったもんだ。
可愛いなぁ、本当に。
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