第9話
インターホンを鳴らすと、直ぐにガチャリとドアが開いた。
「やあウッキー」
「猿じゃない」
「まあまあ、入って~」
「そこら辺に座って~、はいお茶」
「ありがとう」
本棚にはぎっしりとパソコン関連の本が置いてあり、何がなんだか分からない。
学習机は綺麗に片付いている。羨ましい。
俺の机なんかぐちゃぐちゃだ。
「それでさ、今回は報告書なしだからね」
「うん」
「本当に大変だったんだから~」
「すまんな」
「ご褒美増やして欲しいくらいだよ~」
「ケーキの他になんか準備しとくよ」
「わぁありがとう♪」
くそ、そんな可愛い反応されたら何でも買ってやりたくなるじゃないか!
小さい頃から策士な奴だ。
「んでね、僕から話す事はないから」
「はぁ?」
何を言ってんだ?
しかも、何故か着替えてるし。
「今から出掛けるよ」
ん?何を言ってんだ?
「だからお茶、ペットボトルなのか」
「いえす♪」
今日のコイツは読めん。
「家に入れた理由は?」
「外寒いから」
玄関で待つし。
※
「いらっしゃいませ!ご案内致します」
「待ち合わせしていたので案内は大丈夫です」
「かしこまりました!」
ファミレスに来た。
「えー、三つ編み三つ編み…あっ!」
挑夢の後をついて行くと。
「貴女がつばめさんですか?」
女の子がいた。
髪を1つに纏めて三つ編みにしている髪型。
雰囲気は年上な感じがする。
綺麗な人である。
「あら、もしかして挑夢ちゃんかな?」
気さくな感じもする。
「初めまして~」
「初めまして♪」
俺と挑夢は彼女の向かいに座った。
「挑夢ちゃん、隣の男子はもしかして!」
「そだよ~。彼がウッキーこと宇城
「やっぱりー♪」
何で俺の事を知ってんの!?
「その顔は何で俺のことをーって感じだね」
いたずらっ子のような顔で、その人は図星をついた。
なので「まあ、はい」と言った。
笑顔のその人は次にこう言った。
「みぃ…えと、
きっと琴坂は俺の事を愚痴として言っていたのだろうな。
目に浮かぶ。
落ち込みそうになるが、そこをグッと堪える。
「改めて、初めまして、雅虎君」
「はい、初めまして」
「私は雅の親友、
琴坂の親友、だったのか。
「つばめさん、デザート頼んでも良いかな?」
「良いよ、どぞどぞ♪」
これからどんな話になるのかドキドキしていたのに、挑夢のせいで緊張感はどこかへ消えてしまった。
※
「はぁ、幸せ~♪」
「ふにゃっとしちゃって可愛いなぁ♪」
ファミレスに来て1時間。
ずっと挑夢とつばめさんのイチャイチャに付き合わされていた。
「なぁ挑夢?」
「なぁに?」
「つばめさんと仲良すぎ」
「えへへ、そうかな~」
「なに、焼きもちかしら?きゃー♪」
おいおい!
「でもね、ダイレクトメッセージで知ってからほぼ毎日お話しているから、そうかもしれないねー」
「そうだね~」
はは、なんという。
「まっ、それはいいとして!」
つばめさんはパチンと手を叩いた。
「雅の話をしないとだね!」
そうだ、本題はそれだ。
「あの子と私が会ったのは中学の時。ちょうど隣同士だったから声をかけたら意気投合して現在に至るの」
そこから、つばめさんは慎重に話すようになっていた。
言葉の綾が無いように、選びながらゆっくりと…。
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