小話 その1

 約束していた日曜日がやっときた。

 私は親友のつばめとファミレスにいた。


「デザートが来たし、ささ、あの噂の男の子のお話をしようではないか?」

「ふざけないで!」


 私の前にはチョコレートパフェ、つばめの前には何故かフライドポテト山盛り。


「なんで食後と言えないフライドポテト?」

「私にとって、フライドポテトはデザートのようなもの。別腹だよ」


 なんか分かんない。

 つばめはフライドポテトを1本つまみ、添えられたケチャップをサッとつけて食べる。


「ほくほく、うまうま♪」


 幸せそう、可愛い。


「みぃも食べて良いから」

「じゃあパフェ一口と交換」

「まいどありー!」


 あー、私のパフェ狙ってたんかい。


「ちゃっかりしてるんだから」

「ふふ♪」


 まっ良いけどね。


「さて、噂の男の子のお話して」


 しつこいなー。


「どんな人なの?何か進展は?」

「恋バナに持ってくな!」


 渋々、教科書を忘れたから授業の時に机をくっつけて見せてあげた事をもう一度話した。

 あとは、週に1回は早く来るようになっている事。

 体育の時間、優しかった事を話した。


「ふむふむ、なかなか良いじゃない」


 ニヤニヤしてる、止めてよもう。

 頬杖をつきながら、私の事を微笑みながら見てくるつばめ。


「な、何?」

「いやぁ~…」


 何だよー、早く言ってー!


「落ちるのも、時間の問題だなーと…クククッ」


 なっ…はぁ!?


「いやいや、何よそれ!?」

「あはは!おもろーい!」


 ケタケタと大笑いし出すつばめ。


「か、顔…真っ赤っかー、あはは!」


 ツボにハマんなー!


「はぁはぁ…ごめんごめん」

「つばめ…許さん」

「はいはい、んで、んでね?」


 落ち着いた所で。


「また教えてよ?なんなら紹介して欲しいくらいだ」

「友達じゃないし」

「なら、友達なったら?」

「嫌だよ、あんな人」

「そんなこと言わないの」

「むぅ…」


 こんな感じで楽しく会話をしていたら、いつの間にかどのタイミングで食べたかも覚えていないくらい、パフェも山盛りにあったフライドポテトもなくなっていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る