第2話

 私はお弁当を持って健康坂に向かって歩いた。

 目的地に着くと、私はその横に並ぶ木々の所で持参したシートを敷いて座った。

 太陽は眩しく暑い…。

 だからここは日陰になって涼しい。

 日焼け止めクリームは塗って対策はしているが、日陰が味方となればなお良し。

 お弁当を開けてみると、うん上出来。

 ご飯に胡麻と梅干し1つ。

 おかずはまず玉子焼き、甘口にしてみた。

 あとは昨日の夕飯のおかずの中から、ほうれん草のお浸しやにんじん明太子炒め。

 ミニトマトを2つ、冷凍のミニグラタン。


「さて、繋がるかな?」


 メッセージアプリの通話機能で電話をかけると、2コールで相手は出た。


『おはー!』

「待たせてごめん」

『大丈夫だよーん』


 私が、心許せる人。

 名前は平柳ひらやなぎつばめ。

 大雑把な三つ編みをしていて、家では半袖Tシャツに短パンらしい。

 中学で知り合って親友とも呼べるくらいに仲良しの女の子。

 将来の為に通信制の高校に通っているため、私と彼女の時間はめったに合わない。

 それでもお昼だけは私のために起きているという、ありがとう。

 お弁当を食べつつ、会話をしていく。


『今日はというか午前は何があった?』

「隣の席の男子が朝から早く来てね」


 そこから彼に対する愚痴を吐き出した。


「…はぁ、すっきり」

『あはは、珍しい状況だねー』


 笑わないでよ、面白くないんだから!


『なんだかさー』

「何?」


『みぃから男子の話なんてレアだなーと』


 えっ?


『楽しそうに喋るしさ』


 はぁ!?


「そ、そ、そんなこと!?」

『あるある~』


 クスクス笑っているつばめ。

 きっと大声で笑いたい所を堪えているに違いない。


『今度の日曜、遊ぼ?もっと聞かせてよその男子のこと』

「えー、遊ぶのは良いけど話題は違うのにしようよ!」

『どーしよっかなー』


 その後は他愛ない会話をして、2人して笑ったのだった。

 次の日曜までにまた愚痴が増えたら話そっと。

 お弁当は一口分の玉子焼きのみとなっていた。

 それを箸でつまんで、大きく口を開けて食べた。

 甘さが丁度良く、幸せに満たされた。

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