第3話 スライムとの戦い
4時半に起きたせいか、少々眠い。ちなみに今の時間帯は7時過ぎだ。魔物の討伐は9時かららしいし、少し寝るか。
俺は唐突に目を覚ました。もっと寝たいものだが……、部屋の中に王女様が入ってきていた。面白いから泳がせてみる。
王女様は俺に近寄ってきた。さらに顔を近づけた。近い近い!
「もっとこの都に残りたかったです……」
そういうと王女様は、俺の首筋に口を近づけ……キスをした。うぉぉ! ビックリしたぁ! 引きこもりオタクにはハードルが高い!
それにしても、王女様の言葉が引っかかる。アラナンド神都に残りたかった……? 彼女はここを出ていくのか……?
「私の名前はアリア。そうとだけ言っておきます」
「そうかアリア。この街から出ていくのか?」
「っ⁉ 聞いてたんですか⁉ ということはさっきの⁉」
「情熱的なキスをありがとう」
「わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 聞いてたのなら言ってくださいよぉ!」
そうはいうが、寝てる人に不意打ちでキスをするのはこの国では犯罪として扱われないのか……? それとも、王族特有のルール……? 俺は少し嬉しかったので構わないが。
「アリア、出ていくのはやめて欲しい。久しぶりに親しみやすい人と会ったからな」
「それならば、私はここにいます。もし魔王を倒したら、私を妻にしてください!」
「どこにそうなる要素があったのか分からないんだが」
「私は元々、学校で『半端者』と言われていました」
重いストーリー始まったぞ⁉ しかもなんかものすごく長そうだし! この国の王族は話が長いのか⁉ この前王様が喋った時も話長かったぞ!
「辛い話か? 言いたくないのは言わなくていいが」
「私が言いたいのです。
半端者と言われた私は、クラスメイト全員から嫌われていました。私の事を、何者にもなれないと言いました。
でも、勇者様は違いました。私の冒険者の道を応援してくれて、いい冒険者になれるとも言ってくれました。だから、私は勇者様の事が好きです」
「分かった。もし魔王退治をしたら、絶対にここへ戻ってきて、アリアと結婚する」
あれ、やばい。今俺の目の前には二つのフラグが見えている。魔王を倒すか否かって、俺の人生にすごく重要な要素だな。
一つ目は、無事に魔王を退治してアリアと幸せに暮らすフラグ。人はこれを『生存フラグ』という。ハッピーエンドタイプか。
二つ目は……この戦いが終わったら結婚しようみたいなフラグだろう。バッドエンドタイプだ。人はこれを「死亡フラグ」と呼ぶ。
俺は勿論、魔王を倒してハッピーエンド目指そうタイプだな。死亡エンドとか嫌だわ……。
「絶対に、生きて帰ってきてください!」
「ちょっと待て今から行くのは魔王退治じゃないからな覚えてろよ?」
30分後。
さっきはついつい話過ぎてしまった。今度こそスライム退治に行かねば。時間まであと5分……。この脚力なら間に合う!
俺は思いっきり地面を蹴った。地面が凹み、反動で俺が空中に射出される。そして、集合場所の王宮の門へと着地した。具体的には空気を蹴って。
「すみません、遅れましたか?ついついアリア様と話し込んでしまって」
「アリア様め、何度邪魔するなと言ったら分かるのだ……!」
「まあまあ。なんでか知らないけど半端者扱いされてたらしいですし、少しくらいいいじゃないですか」」
「全くアリア様は……!」
アリアが可哀想すぎて泣ける。学校では半端者扱い、王宮では邪魔者扱いされているとは……。
今アリアの文句を言ったのは、ギルダーさん……ではなく、警備騎士団団長のイリアさんだった。彼は王宮でも結構高い立場にいるらしい。
「それより、討伐に行きましょう、討伐に」
「それもそうですね。すみません」
案内された場所につくと、スライムが一匹(?)で居座っていた。どこにかというと、エクスカリバーが刺さっていた巨石の上だ。
名前:なし
性別:女性よりの無性
年齢:264歳
職業:戦士
種族:スライム寄りの悪魔
Lv.96
筋力:1600
耐久:9600
速度:1800
器用:1
聡明:150
魔力:400
スキル:吸収Lv.1576、分裂Lv.1576、重量操作Lv.1561、変化Lv.1497、
潜入Lv.1487、幻影Lv.1474、高速移動Lv.1461、身体強化Lv.1455、金剛Lv.1443、
呼応Lv.1391、飛行Lv.1371、触手Lv.1266、純翼Lv.1111、加速Lv.1102、
攻撃予測Lv.1001、自我分裂Lv.998、呪縛魔術Lv.965、呪術Lv.945、変形Lv.944
危機回避Lv.902、高速回避Lv.450、打撃無効、水属性攻撃無効、衝撃無効、精神攻撃無効、斬撃耐性Lv.1560、魔力攻撃耐性Lv.1439
称号:青の悪魔、魔物
加護:魔王の加護、スライムロードの加護
頭がおかしい! ぶっ壊れステータス!
耐久:9600⁉ 滅びろ! 頭がおかしい!
冷静になって考えると、女性よりの無性ってなんだよ。それはもはや無性ではないだろう。それは女性だ。
「逃げましょう」
「逃げません」
流石騎士だけあるが、これはただの無謀ではないか……? スライムでこの強さはないだろ……。というか、背中(?)から翼が生えてるんだが純翼スキルの効果か……?
「総員突撃!」
「おお怖い!」
いきなり突撃とか、残酷な命令を下す人だ。イリアさんに俺はしばらく観察していろと言われたので、観察する。
騎士A(Lv.96)が斬りかかるが、スライムが生やした触手で腹を貫かれる。噴水のように血が噴き出し、地面を鮮やかな赤に染め、落馬する。グロっ……。
《スキル・触手を手に入れました! スキル・触手 触手を生やす。生やせる長さと量はスキルレベルに比例する》
「うぅ……」
「大丈夫ですか、勇者殿」
グロすぎて吐き気が……。幸い、騎士Aは死んではいないようだったが、彼の騎士生命は終わりだろう。あの怪我で戦える訳がない……!
騎士B(Lv.94)が馬上から槍を使って触手を斬り落とし、騎士C(Lv.98)が槍を構えて突進するが、スライムは背中(?)から生えている羽を羽ばたかせ、騎士Cを馬ごと吹き飛ばす。
騎士Bはいつの間にか馬を殺され、馬から降りていったん引いていた。
それでも、スライムの強さには、終わりがなかった。
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