第51話
最悪の舞踏会デビューから舞踏会を休んでいましたが、今回は他国からの来客の歓迎会との事でアーサーの婚約者の私は強制参加となりました。
今回はドレスとネックレスや髪飾りなど全身アーサー殿下、オリジナルデザインとなっています。いつもながらにセンスはいいね。
リリーは悪魔コースを早くもマスターし、しっかりと仕上げてくれました。今回はアーサー殿下がしっかり迎えに来てくれるらしいわ。
着飾った私を玄関ホールで待っていたアーサー殿下が見つけ固まっている。
「想像以上だ。駄目だ。他のやつには見せたく無い。綺麗だ。僕の唯一の女神」
「ふふっ、アーサー殿下。ありがとうございます」
兄は今回は参加者を装っての警護なので先に会場に入っているらしい。アーサー殿下と2人馬車の中。
何を話せば良いのかしら?とりあえず無難な話をするべきよね。
「アーサー殿下、今日の衣装ありがとうございました。とっても嬉しかったです。ネックレスも髪飾りも大切にしますね」
「アイラ、どうか以前のようにアーサーと呼んで欲しい。僕はアイラとずっと一緒に居たいと思ってるんだ。浮かれて前のような失態はしないと誓う」
「わかりましたわ。アーサー、これからも宜しくね」
そう言って手を取って恋人繋ぎをしてみる。予想外だったようでアーサーは慌てふためいて顔が真っ赤だ。いたずらは成功したみたい。
「アイラ、ずるいよ。嬉し過ぎてどうにかなってしまいそうだよ」
「そうだわ。アーサー、今日のエスコートで誰からも守ってくれたなら私からもアーサーに何か考えるわ」
「本当?楽しみだな」
ようやく恋人に一歩近づいてきたような気がする。
王宮に着いてからアーサーのエスコートでホールに入る。前回とは違い、令嬢達が群がってくる事は無くなっていたが嫉妬の視線は感じるね。こればかりは仕方ない。アーサーが耳元で
「みんながアイラを見ているね。僕の自慢の奥さんが羨ましいんだよ」
「アーサー、私達はまだ結婚していないわ。恋人でしょう?」
「そうだね。恋人。嬉しい。僕の恋人」
ふふふ。周りに見せつけてやったわ。陛下と王妃様へ挨拶をし、各国の来賓の方々に挨拶をする。
隣国からの来客はエスメ第四王女。聞いた話ではこの王女、決まっていた婚約を破棄してまで見目麗しい男達を渡り歩いているんだとか。怒った王様が自分で婚約者を1年以内に見つけて来なければ、王様の考慮なく決めた人と強制的に婚姻し、降嫁するか修道院に送られる事になっているらしい。
つまり、素行が悪く今必死な訳だよね。
「アーサー、あの王女には気をつけてね」
「あぁ、後が無いみたいだしね」
エスメ王女が従者と共に挨拶をしに来た。
「ようこそ我が国へ。私、第2王子のアーサーです。こちらが私の女神。私の唯一の婚約者アイラ・スペンサー嬢です。今宵の舞踏会はどうぞ楽しんで下さいね」
「アイラ・スペンサーです。よ「私、エスメ・グリフィス第四王女よ。アーサー様。噂に違わぬ程の美貌の持ち主なのね。私の婚約者となって下さいな」
うわー被せてきたよ。またウッド系か。
「グリフィス王女様。聞いていましたか?私は頭の悪い女は特に嫌いなんですよね。アイラ以外視界すら入れたく無いほどですから別の方にして下さい。では」
アーサーの態度にエスメ王女は顔真っ赤にしてるよ。後で恨まれて何かされないかな。後ろで控えていた宰相が平謝りだったわ。
挨拶も終えて私達はダンスに移る。アーサーとのダンス。
「アイラ大好きだ。この後、僕の部屋に来るかい?」
「ふふ。あのコレクション部屋ですか。今日は遠慮しておきますわ。アーサーとしか行けない中庭の方へ薔薇を見に行きたいですわ。月に照らされた花園は神秘的ですもの」
「それはいいね。月夜に浮かぶ花達もアイラの美しさに霞んでしまうよ」
私達はダンスを3曲続けて踊り、移動すると令息、令嬢からダンスの声がかかるが、アーサーは颯爽と私の腰をしっかり抱いてエスコートしその場を去る。どうやらダンスを誘いに来た令嬢の中にエスメ王女は居たようだが、もちろん無視する形となった。
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