第45話

 すぐさまセバスにお願いして父に連絡を取る事にした。明日ならいつでも来ていいそうな。私ならいつでも時間を取ってくれるらしい。いつまでも娘に甘い父だわ。


 早速、リリーにお願いして明日の服を用意してもらい、シフォンケーキを焼いて準備オッケー。母からは父と兄の新しい着替えや領地の情報、近況報告など渡された。


馬車で片道3時間は長いよね。ポータル欲しいよね。


 次の日は朝早く出て午前中にはなんとか魔法塔へ到着。父との面会を受付の魔法師に頼む。


「アイラ待ってたよ。さ、座りなさい」


何故か兄もいるわ。


「お兄様は仕事しなくて大丈夫なのですか」


「一応、僕も将来の筆頭候補だからアイラの研究に関わる事は全て参加だよ」


そう言いながらぎゅうぎゅう抱きしめてくる。アイラ成分を補充とか分からない事言ってるわ。


「お父様、これはお母様からですわ。あと、これは私がシフォンケーキを焼いたので皆様と後でお食べ下さいね。


ここからが本題なのですが、先日、森に素材取りに出かけたのですが、魔樹を見つけたのです。今まで見た事の無い魔樹でその調査を行なって頂きたいのです」


「何故魔樹の調査が必要なのか聞いてもいいかな?」


父が不思議そうに聞いてきたので、私はガラスの目ん玉を取り出して見せました。


「お父様、このガラス玉のような物は魔樹の目玉なのです。取り出す時に浄化を掛けたらこのようなガラス玉のようになったのですが、見ていて下さい」


そう言って緑魔法を注ぎ込む。そして兄に叩きつけるとあら不思議。兄はトゲ付きのツタに拘束されました。結果、兄は血だらけ。


兄は和かに炎を使いツタを燃やす。ツタを出した目ん玉はまた透明な玉に変化。次に光魔法のヒールをイメージして魔力を注ぎ込む。


光玉の出来上がり。決して金の、では無い。

そして兄に叩きつける。ほら、どうでしょう。兄が輝いて先程のトゲで傷ついた箇所が回復しているではありませんか。


「見てもらって理解できましたよね。どうやら魔力を貯めて使う事が出来るようなのです」


父も兄も目を丸くしている。


「アイラ、よく見つけたね。これはうちの領地にある森の中で見つけたのかな?」


「ええ。リリーと二人で素材探しに出かけた時に見つけたのです。ただ、採取するにあたり気を付けなければいけないのは、魔樹自体は攻撃してこないのですが、目玉を取り出して浄化を掛けると目玉から叫び声がするのです。

どうやらその声は近くにいる魔物をおびき寄せてしまうようなので採取に行くにも浄化が出来る人と、魔物を倒せる人でないと危険を伴いますわ。私が浄化を掛けた時、魔物に追いかけられ、たまたま居合わせたアーサー殿下が助けてくれたのでよかったですが」


「アイラに何も無くて良かったよ。これは急いで調べてみないとね」


早速ガラスの目ん玉を調べてくれるらしいので良かった。さて、話も終わったので帰るかな。


「アイラ、帰る前に一度この魔道具に魔力をこめて数値を測ってから帰りなさい。アイラの実力を見たくてね」


くっ、そろそろ調べられる時がきたか。


やべーとは思うんだよ実は私の魔力量。なんてったって生まれた時からの努力チートですからね。


 父は用意していたボックスのような魔道具に魔力を流すと850と表示された。兄がすると880となっている。聞いた話だと300あれば魔法師になれるレベルなんだとか。500程あれば国に数名程度らしい。勿論一番の魔力持ちの王族は1000前後らしい。


「お父様、私の数値が良くても悪くても怒りませんか。それとみんなに秘匿してもらえるのでしょうか」


「今のアイラの才能であれば魔力が低い訳は無いと思うよ。神殿でも光っていたしね。今後魔法師にならないのであれば秘匿はするつもりだよ」


よし、覗き見不可の結界を張る。ここで見てるのは父と兄だけよね。そっと魔道具に魔力を込めると数値がでた。うーん1400ってどうよこれ。そりゃ大概の魔法は強くなるよね。王族超レベルか。父は唸る。兄は喜んで離してくれない。


結界を解除する。


「…という事なので私は狩りに出ても問題ないのですよね?今度の魔樹調査後の目玉採りには是非!参加させてくださいね」


そう言ってお家に帰る。

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