第40話

 第一王子のリカルド殿下とシエナ様。アーサー殿下と私のダンスから始まる。


ちゃんと王妃教育のダンスは一通りやってあるので大丈夫よ。アーサー殿下のリードで踊る私。


「アイラ、素敵だよ。このまま君と一緒に居たい」


「アーサー様こそとても素敵ですわ。見て下さい。令嬢達が羨ましそうに見ていますわ」


曲を踊り終えるとあら不思議。令息、令嬢達が群がってきたわ。


私はアーサーの横に居るのに何故か押し飛ばされた。幸いな事に何名かのクラスの方達に助けられ、そのままお話しさせていただきました。


アーサーは令嬢達に囲まれて動けない様子。


そんな中、お兄様が私の手を取りダンスに誘います。


「我が天使、一曲どうですか?」


勿論踊りますとも。


「ふふっ。アイラ見てごらんよアーサーを。どうするのか見ものだね」


視線をアーサーの方に向けるとあらまぁ、先程陛下が言った事は無かった事にしたいのかしら。ウッドみたいな令嬢とその親が数名いるわ。


「お兄様、どうしましょうか。お父様とも一曲踊った後、もう帰ってもよろしいかしら。気分が優れません」


「そうだね。あのままなら帰っても大丈夫だろう」


兄もニヤニヤしてる。曲を踊り終えると父の所へ行き、パパと踊りたい。頭コテンを発動。


 舞踏会デビューの娘と踊る事が父の夢だったようで良かったよ。やはり父はダンス上手だわー。母と事あるごとに踊ってるしね。


「お父様。アーサー殿下は令嬢に取り囲まれておりますわ。彼も拒否する様子もありませんし、私、このまま邸に帰っても良いかしら」


「一緒に他の方との挨拶周りをした後、アーサー殿下と陛下には挨拶をしておいで。それから帰ろう」


了解しましたー。父と兄のエスコートで挨拶周りをしていく。あからさまな息子アピールをしてくる方もいらっしゃりましたが、兄が上手く牽制してくれます。流石兄。勉強になります。


「アーサー殿下。両手に花とは羨ましい限りですわ。楽しそうでなによりです。初めての舞踏会とても楽しかったですわ。私は引き続き研究も残っておりますのでこの辺で失礼させていただきたすわ。どうぞお楽しみになって下さいませ」


えぇ。嫌味たっぷりです。後で控えてたお兄様にエスコートされて陛下の元へ。


「陛下並びに王妃様本日はお招きありがとうございました。本日は私、感激で胸が一杯ですのでこのまま父の邸に下がらせていただきます。アーサー殿下には宜しくお伝え下さいませ」


王妃様はアーサー殿下を見る。ウッドみたいな令嬢達がまだいるよ。いつもこんな感じなんだろうか。


学院ではクラスに入って来なかったから気づかなかったのかもしれないね。私、クラスのみんなに守られてるわー今実感しちゃったよ。


「アイラちゃん。本当にいいの。帰っちゃって」


「いいのかと聞かれてましても困りますが…。ウッドさんの事件以降、心が少しばかり疲れたのは事実ですわ。アーサー殿下も私より積極的なご令嬢の方がお好みのようですし」


「… 分かったわ。後日、お茶会に招待するわね。こんな素敵なアイちゃんを弾き飛ばす令嬢も、エスコート1つもまともに出来ない馬鹿も最低よねぇ」


挨拶も終えて馬車に乗り込む。王妃になるのなら浮気の1つや2つは認めたり、側妃も迎えなきゃいけないとか、女の子と喋っていても笑ってなくちゃいけないんだよね。


やっぱりシエナ様は凄いと思うわ。私には無理だわー。器量なしでいいわ。


それにウッドのお陰である意味傷物だしね私。貰い手も無いし、やはり領地の片隅に籠もって研究者として生きていくわ。


私も誰かに愛されたかったなぁ。好きな人に守ってもらえるっていいね。でも、疲れたよ。

 

邸に戻ったらリリーと一緒に寮へ向かおう。


とりあえず、学院は卒業しないとね。



明日からすぐに実技終わらせて領地に帰るわ。

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