第33話
お茶休憩も終わりアーサー達は生徒会室に帰って行く。
すぐさま魔法でリリーに数枚のハンカチを持ってきてもらい刺繍に取り掛かる。この辺は前世でもかなりやったから小さな物ならすぐに終わるわ。
ただ、ウッド子爵令嬢が接触してるって事は、万が一の事を考えると、もう時間が無い。夜鍋するしかないよね。
解呪や解毒の腕輪やアクセサリーって存在するんだけど、服装によっては付けない日もあると思うのよ。
装飾具に組み込まれている属性術式はその属性を持たない人には使えないという話もある。そこが属性の問題点なんだよね。これをクリアすれば何とかなる。
私が考えたハンカチならポッケにいつでも入れてればOK。そして私特製の魔力で編み出された糸。透明な刺繍糸の様なイメージね。魔力のみの糸だと魔力を流さないと消えてしまうんだけど、緑魔法を使用しての植物系特殊糸。
詳しい説明は省くけど、特殊な植物糸を利用してハンカチに特殊な術式を縫い込んでいく。余程しっかり鑑定しないと私の魔力が包んでる位しか分からず、ただの刺繍されたハンカチに見えるはず。そして持っている人の純粋な魔力を使うような術式にしたの。これなら属性関係なしよ!
相手が魅了(呪い)や毒などが使われると解除中はハンカチが携帯のバイブのように震えて術式がうっすら光るよう設定してある。とりあえず、徹夜で仕上げたわ。
リリーには心配されたけれど、今日は朝一で登校。今日は実技が無いので研究室で昼寝すれば良いしね。
登校して早速アーサー達を探す。アーサー達は教室にいた。
「アーサー、リチャード様。グレイ様。おはようございます。」
「アイラ、おはよう。今日は珍しく朝から教室に来たんだね。」
「その事なのですが、私、皆様にお渡ししたい物がありまして。お気に召すかは分かりませんが用意したのです。肌身離さず持って頂けると嬉しいですわ。お受け取り下さいませ。」
そう言ってハンカチを3枚ずつ渡す。洗い替え用ね。イニシャルや家紋をあしらった見た目は普通のハンカチ。
「アイラ、これは。ありがとう。すぐ使うよ。リチャードもグレイもすぐポケットに入れておけ。アイラが私にくれるなんて嬉しいよ。でも私以外にもプレゼントするなんて焼けてしまうよ。」
アーサーとリチャードは私の魔力を感じるハンカチにすぐ気づいたようだ。流石だね。グレイも持って何かしらは感じた様子。
3人と何気ない会話をした後、授業が始まる前に私は研究室に退散。そして机で即寝落ち。
お昼はクラスの皆とお昼を食べる為にクラスに出向いた。皆、仲良しでいいわ。クラスの皆と何食べるか話してる時に来ました。彼女、ウッドさん。やはり目当てはアーサー。
クラスの中にズケズケと入ってきた。
「アーサー様のことずっと待っていたんですぅ。中庭でお昼を一緒に食べましょぅ♪リチャード様もグレイ様も一緒に。今日は私がお昼ご飯を作ってきたんですぅ」
さぁさぁ、と言わんばかりにアーサーの腕を引っ張って行く。腕に胸を押し当てちゃって。ラノベ電波ヒロインまんまに笑った。
護衛のグレイは止めろよ。クラスの皆はドン引きだったわ。私に対して皆の気遣いが心に刺さってきたわ。
私は食堂でご飯を食べて早々に寮に戻った。リリーは心配してくれたけど、今日はもう疲れた。やるだけの事はやったんだし、ベッドでゴロゴロしよう。
アーサーはウッドさんを好きになるのかしら。ここにきて婚約破棄がチラつくとは。釘を刺したのが昨日の今日だから大丈夫だとは思うんだけどなぁ。
そう思いながらゴロゴロしたままいつのまにか寝てしまい、気づけば朝になってた。
今日一日寮に居よう。昼までゴロゴロして自堕落に過ごしていると、リリーがお客様が来ていて案内しても良いか聞きにきた。
誰だろう。面倒くさいなぁ。
そう思いながら着替えの簡単なワンピースを着てサロンに向かうと、アーサーとリチャードとグレイの3人がいた。
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