第32話
4年生になりました。一気に端折った説明になったけれども、実際大きなイベントも無くまったり過ごせてます。
兄は難なく首席で卒業し、父と同じ魔法師として王宮勤めに入りました。
領地の方も無事上水道が完成し、病気になる人が格段に減ったとか。タオル産業もジワジワと浸透しているようで私の懐も暖かい。
魔法剣造りはというと、兄が魔法師になったのがきっかけとなり、魔法塔で上位の魔法師達が魔法剣造りをするようになった。兄達は魔法剣を職場に投げて私に新たな研究をしてもらいたいらしい。
私も一緒に卒業してもいいんだけど、殿下を置いて就職するのは反対されてしまったわ。そういえば、王族は単位を最初から取ってるので王宮の行事や生徒会室に籠もって仕事していても平気ならしい。
リチャードはというと、全部単位を取って早々に卒業かと思いきや、アーサー殿下の部下に抜擢されて普段はアーサー殿下と共に行動してる。
将来は宰相になる予定でリカルド殿下に付くかと思ってたんだけどね。リチャード曰く、アーサー殿下の卒業を待って新設される魔法騎士団の副官になった方が楽しそうだ。という事らしい。
研究については前ほど出来ないらしく趣味の範囲でやってる。研究室には前ほど来なくなったんだよね。
私が研究室で材料を使って食事を作ってる時には何故か殿下と共に来るんだけど。絶対影が教えてるよね。なんという影の無駄遣い。
影に気づいてからは毎回部屋の隅に料理は置いていてこっそり食べて貰う事にしてる。毒味と称してね。いつの間にやら無くなってるから食べてくれている様子。
料理は色々な物を作ってレシピにまとめてみた。これはリリーにも手伝って貰った。味噌や醤油が手に入った事で色々な和食が作れたわ。
お店を開いてみようかなって何となく言ってみたらアーサーはアイラの手料理は誰にも食べさせたくないって拒否だった。
最近アーサーは兄に似てきた気もするんだよね。私の手料理もリチャードやグレイにも食べさせたくないって子供みたいに駄々捏ねてる。
まあ、そんな感じで日々を過ごしてたんだけど、最近になって途中入学してきた女の子が騒ぎを起こしてるんだよね。
Fクラスのホリー・ウッド子爵令嬢。ウッド子爵のご落胤だそうで、子爵令嬢として学院に4年生から通い始めたよう。
何が問題かと言えば、常に男子生徒と一緒にいて婚約者のいる、いないに関わらず声をかけているらしい。まぁ、そうなれば自動的に女子生徒から嫌われるよね。
Aクラスの平民の人達に聞いてみると男女問わずホリー令嬢の評価は低い。平民でもあれはないそうな。ただ、庇護欲を唆る美少女なのでモテてはいるようだ。
普段は人の色恋に関心は無いんだけれど、ホリー令嬢はアーサーに目を付けたようで最近Aクラス前や生徒会室前をうろつくようになっているんだよね。
アーサーは今の所気にしていない様子だけど、何かあったら嫌だし、アーサーに言っておかないとね。アーサー達が研究室にお茶しに来たし、ちょうど良い。
「アーサー、ホリー・ウッド子爵令嬢をご存知?婚約者の居る居ないに関わらず男の人に声を掛けていて他の令嬢達から顰蹙を買っている方のようですわ。ウッド子爵令嬢は最近アーサーに近づいているらしいと聞きました。私との婚約の時の約束忘れないで下さいね」
リチャードもグレイも釘を刺されて一瞬目を見開いた。どうやら接触はしているっぽいね。
「アイラ、僕に嫉妬してくれて嬉しい。ウッド子爵令嬢は可愛い子だよね。ウッド子爵令嬢とはまだ何も無いし、アイラ命だから心配しなくていいよ」
そう言ってラノベの王子達は落とされていくんだよ。
あれか、一応使う事は無いとは思うけど、解毒や解呪の術式を組み込んだハンカチを何枚か送るか。
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