第20話
翌日、朝から兄達は妙に張り切っている。興味があるのか護衛の騎士以外にも十数名の兵士が見に来ていた。酷いなぁ。私は見世物なのか。解せぬ。
3人とも余裕ぶってるな。か弱い令嬢に王族との対戦。この解せぬ思い。彼等をどう料理してやろうかしら。1対1で対戦してくれるそうな。まずはアーサー殿下と。
私は水魔法を唱え使い可愛い水色の小鳥を5匹程作る。そして開始と共に殿下へ飛ばす。見た目はなんて可愛いんでしょう!自画自賛ですわ。
見た目とは裏腹に殿下に近づいた途端に水のロープと化し手足と口に巻きつく。殿下が焦って解除いる間に短剣を首元に突きつけあっさり終了。ふふっ。
解説すると、この世界の魔法はアイス・ファイアランスやショット、バーニングなど直線的な攻撃か追尾型の攻撃が殆ど。
捕縛は緑魔法のツタを使うので水が変化しツタのように巻きつく事は想定外なのだ。想像力豊かさでは負けないわ。
隙を突けたから勝てたけど、次回は使えない手ではあるわね。
2戦目はリカルド殿下。先手は殿下から。小手調べと言わんばかりにファイアボールが飛んできた。アイスボールでかき消す。
私はすかさず無数のツタを地中から出し襲いかかる。リカルド殿下は拘束されまいと炎を出しながら移動する。
ツタによって誘導されたと気づかせないのがポイントね。移動した場所で結界が発動した。リカルド殿下の身体を無数の小さな結界で捕らえ動きを止める。イメージとしては某漫画の感じ。
1つの結界だと解除も1回だけど、強度の違う結界だと強度に併せて数回解除しなくちゃいけない。
魔力全開で無理やり1回で解除も出来るけど、魔力ロスも凄いし、私がこんな技使う考えが思いつかばないと踏んで正解だったわ。
「まいった」
見学していた騎士達からは感嘆の声が上がった。
最後は兄。兄はこれで行くしか無い。私は手のひらに小さな光の球を出す。これはヒールと雷を複合し形にしたもの。
小さいながらも魔力を練って練って作った濃縮ヒールと少量の雷の玉。
トコトコと歩いて兄の前でうるうるし、
「大好きなノアお兄様のために作ったの。受けて欲しぃな。ダメ?」
ウルウルの瞳に頭コテンも忘れず。兄は一瞬悩んだようだが、
「天使のためなら負けてもいい」
と言って動かず。ヒールを兄の体にそっと近づけると身体が光りに包まれ兄は心地よさでうっとりしている。
想像した通り、電気治療ぽく出来たようだ。その間にツタで拘束。ハイ、終了。
全力ダセナカッタネ。
サロンでお茶しながら反省会が始まる。兄は1人上機嫌だった。
結局、私は攻撃という攻撃をせずに終わった結果となった。初めての対戦という事もあって彼等は手を抜いていたのか、女だと思って侮っていたのかは分からないけれど、油断大敵よね。
勝ったご褒美として今シーズンの王家主催の舞踏会、お茶会は全て不参加をもぎ取ってやったわ。うへへーい!
これで研究の時間をさらに確保できた。
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