第16話

 ようやく午後の授業も終わり、寮に帰るとリリーと一緒に用意した晩ご飯を楽しむ。


リリーも私の作るご飯が気になるらしく、覚えて作ってもらうために今は一緒にご飯を作ってる。


 兄は3日と空けずに私の部屋まで来ては晩ご飯を食べて帰って行く事を繰り返してます。



 そして兄が学院に私の研究室を作る事に口添えをしてくれたみたい。私とリチャードは研究室を貰いました。使われていない教室の1部屋を2つに区切っているため入り口も2つで丁度良い感じ。中央の仕切りは応接セットでなのは違和感しかないんだけどね。


気にせず、授業後はお互い研究に励んでます。


でもね。


な・ぜ・か研究室は生徒会室の向かいにあり、兄やリカルド殿下、アーサー殿下、生徒会の方々がお茶をしに来るんですよね。毎日のように。そんなに見られても研究は進みませんよ。わざわざ間仕切りのように置かれてある応接セットはこの為か!



 研究の方はというと、最初のうちはリチャードとの共同で魔力を通す物や蓄魔力が出来る物質探しをする事にしたの。お互い使える材料が多いに越した事は無いしね。


学園周辺をひたすら素材採取と金に物を言わせ市場と鉱物の取り寄せで物を集めて実験。


 市場で魔魚を買った時は、骨部分が欲しいので、魔魚を3枚に捌いてから身はコンソメで野菜と煮て美味しくなった所を食べました。生徒会の方々が。


私が煮付けを作ってリチャードと2人で食べようとしてたのに魚の骨の実験の準備をしてる間に鍋が空になってた。腹を摩る兄達。ぐぬぬ。残りの骨を鍋で煮詰めて出汁を取り、魔力豊富な生徒会の方々の魔法で粉状にして貰ったのは仕方ないよね。


 風魔法で水分飛ばして粉末出汁の完成。働かざる者食うべからずよ。骨はすっかり腐敗する部分を抜きとってようやく実験材料になりました。


 同じように魔鳥や普通の鳥も同じように肉は調理し骨と分けて実験材料に。鳥肉はやっぱり唐揚げよね。コンソメや出汁粉末等使って味付けし、油で揚げる。生徒会の方々は唐揚げの美味さに驚き、まさかの取り合いに発展。肉が大好きなお年頃ですからね。


この世界に唐揚げは無かったので本当に喜んでもらえたようだわ。


結果、骨はとっても魔力を通しやすかった。特に魔魚が一番抵抗なく通せたよ。本来なら海へ出向き、多種の生き物でやりたいけど、夏休みまでは市場の魔魚で我慢。


後は様々な鉱物を取り寄せてひたすら実験。数種は魔力と相性がいいと判明。樹液類は種類と粘度によっては蓄魔力しやすい事も判明。


夏休みを目前に主立った材料の目処がついた気がする。ここからはリチャードとは別々に物作りが始まる。


そして、兄やリカルド殿下からの難題を出されたわ。秋の魔法闘技会のデモンストレーションとして魔法剣を用意して欲しいと。


無理じゃね?


夏休み前には試験勉強しなきゃいけないし。あーソウデスヨネ。皆様は頭の出来が違いますからね。


そしてもう1つ。私にたまには生徒会の皆様に大量に唐揚げを作って欲しいと。この見返りは高く付きますよ?とりあえずは目前の試験を全力で頑張りましたわ。


勿論試験前は研究も休んでご飯もリリーに全てお任せして勉強に励みました。この時ばかりは兄も静かにリリーのご飯を食べてました。

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