第15話 アーサーside

 ようやくアイラに近づける。この日を待ち焦がれていたんだ。長かった。


アイラが初めて参加した王族主催のお茶会。あの日、アイラが挨拶しに来た時に目を奪われたんだ。こんなに綺麗な子がいるなんて。ふわふわのドレスを着てくりくりと丸い目で周りを見ている姿は小動物を連想させるようでとても可愛い。


見た目とは裏腹に僕たち3人の王子を歯牙にもかけない話ぶり。各家の挨拶も済ませ席に着くと令嬢達に群がられ近づく事さえままならなかった。


彼女ともっと話してみたい。



 ようやくアイラから僕の所に来てくれたと思ったら何なんだ。義務は果たしましたとばかりに席に着くアイラ。


その姿にモヤモヤしてしまった。結局、話す機会も無く帰ってしまったアイラ。




あの後、王妃にお願いしてあの手この手でお茶会に呼ぶも梨の礫。これでは婚約者に挙げられない。


魔法師筆頭を何度も呼びつけ、アイラに会いたいと何度言った事か。その度に筆頭はアイラ自慢をしては有耶無耶にして去っていく。


 アイラが気になって仕方がないので影をアイラにつけ、情報を持って来るよう指示した。


 兄や王妃はドン引きしているようだが気にはしない。最初は兄の婚約者にと考えていたようだが僕が初めて見せた執着でアイラは僕の婚約者候補にも上がる事になったんだよね。


 アイラの好きな食べ物や好きな事、小屋での研究、全部答える自信がある。学院入学の時も同じクラスでアイラが隣の席と分かった時の嬉しさは今でも忘れない。毎日隣にアイラが居ると思うだけで僕の心は浮かれ気分で微笑んでしまう。


従者には他の令嬢がその微笑みにやられてしまうので微笑んではいけませんと注意されてしまった。



宰相の息子がアイラと仲良くしてる姿には思わず嫉妬して煩い令嬢を無視して声を掛けてしまった。


地味な格好のアイラもまた可愛いな。初めてアイラに声を掛る事が出来た。まさに天にも昇る気持ちとはこの事かと思ったよ。

これから毎日隣だと思うと嬉しすぎる。ずっと横顔眺めていたい。





 リチャードがアイラとランチだって?ダメダメそんなの。アイラも何で付いて行くんだ。


クソッ。令嬢達が邪魔だ。早く追いかけないと。


 やっと令嬢達を巻いて中庭に着くとリチャードめ!アイラの手作りのパンを食べているのか。羨ましい。


1つ貰って食べたけど、なんて美味しいんだ。王宮の料理のパンも美味がこんなに柔らかで味のあるパンを食べた事が無い。


ノアが妹マジ天使って自慢してるのが分かるな。『旦那様。はい。あーん』想像しただけで鼻血が出そうだ。


 早くアイラを婚約者に決めたい。アイラの母は神殿での魔力測定以降アイラの淑女教育をこっそり王妃教育に切り替えてもしもの準備をしているようなので婚約者候補から婚約者にいつ決定しても何ら問題ないだろう。


 アイラは研究がしたいんだったな。もっとアイラに会いたい、話がしたい。よし、研究室を作ろう。


急いで兄やノアに掛け合うか。

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