第14話
午前授業も終わり、お昼の時間。お弁当も持ってきたし、天気も良いし折角なので中庭で食べようと歩きだす。
「アイラ嬢は食堂へ行かないの?」
リチャードが声を掛けてきた。
「ええ。自分で作ったお弁当を持ってきたので中庭で食べようと思って」
「僕も一緒に食べたいからアイラ嬢も食堂へ寄って欲しいな。ランチ取ってくる」
私はクラスの方々とゾロゾロと一緒に食堂に向かい、ランチを取ってきたリチャードと2人で中庭へ移動し、テーブルにお昼ご飯を広げた。
「リチャード様。最近の研究はどうですか?私はようやくゴム生産も一段落したので本格的に魔法を使用した物を作ろうと考えていますわ」
私が食べているサンドイッチ風の野菜入り柔らかコッペパンをリチャードは気になった様子。
「アイラ嬢、このパン1つ貰っていい?何だか美味しそう」
沢山作ったから気にせずリチャード様に渡す。リチャードは一口食べると目を丸くして
「美味しい。このパンアイラ嬢が作ったの?初めて食べたよ。こんなに柔らかくて美味しいパン」
物凄く喜んでくれたようだ。
「アイラ嬢、僕にも1つ貰えるかな?」
はっ、見上げるとそこには見目麗しいアーサー殿下のお姿が。あわわわ。
「どうぞ、兄が食べに来ると思い沢山作ったのでお食べ下さい」
おずおずとパンをさし出す。毒味係が素早く味見し、目を丸くしたが、毒は無い様なのでアーサー殿下に渡す。
毒見係の方も美味しそうで良かったです。アーサー殿下はリチャードと私の間の椅子に座り、パンを食べると褒めて下さった。
「アイラ嬢は料理が得意なのですね。ノアがアイラ嬢の手料理がとてもとても美味しいと自慢していて気になっていたのです」
「お兄様がそんな事を仰っていたのですね。お恥ずかしい限りです。私は研究の一環として料理をしているだけですので人に振る舞うような料理を作ってはいないのですが」
兄め。生徒会で自慢したな。後で絞めねば。
リチャードはモグモグしながら次のパンに手を伸ばす。
「最近は色を変える魔道具を考え始めたよ。まだ案を練ってる最中だけどね。アイラ嬢は次は魔法を使用した物の研究ってさっき言ってたけど、何やるかは決まってるんじゃないの?」
リチャード様、流石。鋭いな。アーサー殿下も私のパンを食べながら聞いている。
「ふふ。リチャード様には隠せませんね。漠然としか考えていないですが、魔法剣は面白そうだなと考えておりますの。今は武器が魔力に耐えられませんが、剣が炎や氷、雷を纏って攻撃出来れば格好いいとおもいませんか?」
それに喰いついたのはアーサー殿下。やっぱり男の子の憧れだよね。魔法剣って。
「アイラ嬢、その魔法剣は何処で研究する予定なのかな」
「我が家で研究をする予定ですが、何分週末のみの研究になるので完成までに何年かかるかは分かりませんわ」
「では、リチャードとアイラ嬢には研究が出来るように学院の一部屋を提供しよう」
モグモグとパンを食べ終わったアーサー殿下は席を立ち、従者と共に移動しかけたが、思い出したように振り返り様にニコニコと上機嫌この上ない感じで口を開いた。
「アイラ嬢の他の手料理も食べてみたいので今度はノアの許可を貰ってくるよ」
えー。パンで親密度アップしちゃった感じ?えー。リチャードも手料理を食べたそうにしてる。
えー。どうしてこうなった。
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