第13話
「アイラーきたよー。あーけーてーおーくーれー」
「お兄様、妹であっても二人きりになるので扉を開けられませんのよ」
「ふふ。そう思ってリリーを呼び止めておいたんだ」
リリー、帰ってなかったのね。扉を開けると兄がすぐさま入り、後からリリーが荷物と共に入ってくる。
「お嬢様、旦那様からのお手紙です。寮生活は私、リリーにお願いして勉強と趣味に励みなさい。週末はパパに会いに来てね。との事です」
グッバイマイ一人暮らし。なんて短い1人暮らし生活。兄は絶対裏で手を回したに違いない。
「早速だけど、早めの晩ご飯にしようよ」
既に兄は私な悲しみを気にする事なく食べる準備万端。…仕方がない。
「お兄様、私の手料理は今日だけですわよ。明日からはリリーにお願いしますのでお兄様は心配しなくて結構ですわ」
絶対毎日くるよね。私はそう言いながらもさっき作ったパンとスープを兄に差し出す。
「アイラ、美味しい。今までにない味だ。王都で有名な店よりも美味しい。こんな素敵な手料理を作るなんて。流石僕の天使だ」
兄は私の作った料理を褒めちぎってスープとパンをお腹が出るまで食べてた。私の手料理をお腹一杯食べてくれるのはいいけど、格好いい兄が巨漢になりそうで怖いわ。兄は
「アイラの様子を見にまたくるね」
と言ってパンをきっちり持って帰った。一杯作って置いて正解だったわ。
「リリー。明日からお願いね。お昼ごはんはこのパンに野菜やハムを挟んで持っていくわ。」
忙しかった1日がようやく終わったわ。
翌日以降はリリーに起こされて朝食を食べた後、学院の準備をする。勿論、眼鏡に三つ編み。前髪も重めにつくり、モサイ子生活を順調にスタートさせている。
本日も目立たない準備を万端にして学校に臨む。もちろんサンドイッチも忘れずに。
あー魔法瓶作り忘れた。また紙に起こしてセバスに頼まなきゃ。最新の魔法瓶を作るのは難しいけど、初期の魔法瓶は作れると思うので次回兄が来た時にお願いしてみよう。
時間に余裕を持ってクラスへ到着したけれど、既に数名のクラスメイトがいたので声を掛ける。皆私に驚きオドオドしてた。
どうやら貴族で殿下の婚約者候補なのにモサイ雰囲気を醸し出す私に声を掛けづらかったらしい。
話すうちに徐々にではあるけど打ち解けてくれたようだ。そのうちにリチャードも会話に加わる。
クラスの雰囲気としてはほんわかな感じなんじゃないかと思う。男女共に楽しく過ごせそうだけど、殿下目当ての令嬢達がくると一気に雰囲気が変わるようだ。
誰一人話さなくなるし、緊張感に包まれる。おー怖。勿論他の婚約者候補はみんなお隣のクラス。授業中は殿下も令嬢達から解放されて楽になるのかもしれない。
顔には出さないってところが流石王族。
学院では魔法の実技授業と魔術、算学、歴史など様々な座学がある。あとは剣術等の授業も。魔力が尽きた後、自分の身を守るのに必要ぽい。
魔法が使える騎士は魔法剣士になれるんじゃね?って思ってるのは内緒。
どうやらそこまで器用な騎士は少ないし、概念もないとのこと(兄談)。
実際には武器もフルパワーの魔力を剣に直接纏わせると耐えられなくなるらしい。
魔法剣…研究しがいがありそうだわ。武器は武器屋、魔法・魔術は魔法師と縦割り区分らしい。私の研究余地はまだあるかも。
官僚を目指してるうちのクラスは剣術が苦手な人も多いけど、殿下や護衛となる人達はやっぱり違うね。様になってて超格好いいとは思う。
父も兄も魔法や魔術を多用してるけど、剣術も素晴らしい腕ではあるらしい(リリー談)女性という女性にモテる訳だわ。私はというと、やっぱりからきしね。
やっぱり研究が一番合ってる。
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