第9話
私の気持ちとは裏腹に母が心待ちにしていたお茶会。お城の中庭で行われるらしい。私達は朝から侍女達に着飾られ馬車に乗り込む。
お城は王都で1番立派な建物だけあって遠くからでも豪華絢爛な様子が見て取れた。
あぁ、憂鬱だわ。
馬車を降りて案内された中庭に居たのは十数人の子息、令嬢。もう既に半数は座っていたわ。私と母もイケメン案内係にエスコートされながら席に着きました。やっぱり見る分にはいいねイケメン。
私は空気と化し、イケメン観察で今日を乗り切ろうかな。
そんな事を考えている間に傾国の美女と謳われる王妃様と王子様三人が現れました。
第一王子のリカルド様現在7歳。第二王子のアーサー様は私と同じ5歳。第三王子のアレクサンダー様は4歳。三人とも文武共に優れているようで将来有望視されている見目麗しい別世界の方々。
こんな方々の妃になると嫉妬やらなんやら大変だよね。何とかは危うきに近寄らずって言うしね。
さっさと挨拶して空気にならねば。我が家は侯爵家でこの場では爵位が1、2番目に高い。早速、母と挨拶に向かいました。
「アイラ・スペンサーです。本日はお招き有難うございます」
淑女の礼をする。
「こんな可愛い令嬢が神殿での魔力の儀式では強い魔力値と光の属性含む4属性が出たそうですね。将来は3人のうち、誰の妃となるのかしら。ふふ。楽しみにしてますよ」
おっとー。思わぬ所からのふんわり先制攻撃貰いましたー。
「父と仕事を共にしたいと思っており、将来は魔法研究員に、と考えております。王子様方の生活の向上、延いてはこの国の為に忠誠を誓い尽くす所存です」
にっこり笑って即逃げです。王家としては高い魔力持ちや光属性持ちは欲しい所ですよね。王妃様は『ふふふ。面白い子ね』と受け流してくれたみたい。ホッと一息。
貴族達からの挨拶も一通り終わり、お茶会が始まりました。もう既に王子様達の周りには令嬢の壁が出来てますね。黄色い声も沢山聞こえてきます。
私はというと席でひたすらお菓子を食べてます。流石王家、お菓子も素晴らしい。
「アイラ、王子様の所に行ってきなさい」
あーはい。一応ポーズは必要ですよね。
「はい。お母様行って参ります」
私はスタスタと王子達に群がる令嬢達の壁にくっ付いて
「アーサー様格好良いですぅ。リカルド様こっち向いて下さい~。アレクサンダー様可愛いですぅ」
言葉はかけました。目的は果たしたのでもう大丈夫でしょう。
私はスタスタと席に着き、またお菓子を食べ始める。その様子を見ていた母は扇子で口元を隠してる。絶対笑ってるよね。
さて、お腹も膨れたので帰る前に庭園見学しようかな。
「お母様、せっかくなので帰る前にお庭を見たいので行ってきますね」
母にそう告げて歩き出しました。やっぱりお城の庭は違うわ。池もでかい。ん?あそこに男の子がいる。
「お城の池って大きいね」
そう言葉をかけると振り向いた男の子は可愛い顔だった。このお茶会の参加者かしら。
「一人でここにいるの?」
「僕、リチャード・クラーク。あまり人の多い所は馴染めなくて。君は?」
「私はアイラ・スペンサー。帰る前にお庭を見ていこうと思って歩いてたの」
男の子は私を見るなり目がキラキラと輝き始めたわ。
「もしかして、君は儀式の時に強い魔力判定された子だよね。あの後すぐ君は別室に連れて行かれたから声を掛けれなかったんだよ。僕も魔力が強い判定がでたからまた会う事になると思う。宜しくね。」
魔法仲間か。楽しみ。
「今日はもう帰るからリチャードに手紙書いてもいい?」
「僕も書くよ」
私達はお茶会の会場に2人で戻った。じゃぁねと席に着いて母に帰りを促す。王子様達はまだ令嬢達に囲まれてる。今の間よね。さっさと帰ろう。
「お母様、目的は果たしました。帰りましょう?」
「仕方がないわねぇ。帰りましょうか」
私達は従者に帰る事を告げて会場からそっと出て行く。一瞬王子様と目が合った気がしたけど、気のせいよ。
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