過去編

第18話帝王の始まり

帝王フェニの前世は竜の王族の分家として生を受けた。

分家でありながら同時期に産まれたセリアナ王女とは比べ物にならない、異才とも呼べるほどの才能を持って彼は生まれた。


しかし天才と持て囃されていた彼の人生はあることがきっかけでどん底に叩き落とされることになる。

竜は3歳になると能力値の測定が行われる事になる。

そこで見つけられた力、それは世界で最も恐れられる力


『双竜の片割れ』


世界を滅ぼす者として予言され、存在しないだろうと言われた世界最悪の存在。

それを隠蔽しようと国王は彼を彼の母方の

祖父と共に貧民街に追放し、彼の母親は

冤罪で処刑され、第二王子であった父親は王位継承権を失い、姉は奴隷落としとなった。


ーそして、その日から5年が経ったー


「キョン見なさいよ!銅製品に銀貨5枚ですって!こんなのぼったくりよ!」

「しー違いますよ、皇女様。確かにこの店は国王様が出している販売の決定金額に従っているだけですよ。」

「本当に!?あいつも酷いことするわね!今度しっかりお説教しないと!」


国王の事をあいつ呼ばわりするこの少女は

かつて遥か昔に国王、陽電神ヘルシア・アルマータ、祖来神サーペン・グダム・ハバリガニと共に世界を創成した3柱が1人、

聖皇神リア・アリスシアであった。


「しっかし死んでないわよね?こんな食べ物もろくに取れないところで」

「まぁ大丈夫でしょう。アレが死ぬはずありません。恐らく、国王陛下でも殺す事は無理でしょうし。」


彼は生まれて数日で騎士団を一歩も動かずに敗北させたと言う伝説を打ち立てたのだから


「ふーん、って人が倒れてる!助けないと!」

「待ってください!不用意に近づいたら!」


彼女が走って行った先には彼女と同じぐらいの姿をした少年がいた。


「あなた大丈夫?」


そう言って彼女が泥まみれの彼を起こそうとした瞬間。


「死ね、ババアの手先ども」


それが世界の歯車を狂わす1人の竜とその1人目の妻との出会いだった。

そう言って起き上がった彼は何かを彼女に投げつけた。

それが当たった瞬間、彼女は一瞬で気絶した。


「姫!大丈夫ですか!」


急いで姫を抱き抱え、体勢を整える。


「チッ、仲間もいたのか」

「待ってください!私達は王都に住んでいますが、決して国王の手先ではございません!

ただ、リセと言う竜を探しているだけで...」

「あ?俺に何のようだ」


そう言って立ち上がった彼の身体には、先ほどまでにはなかった双龍が生まれた時に持っていた深い深い青色をした鞘の刀と赤と青の耳飾りが付けられていた。


「すみません、姫さまがあなたに会いたいとのことで...」

「ん?セリアナ王女か?」

「いえ、リア様です。セリアナ王女は姫さまの遠い子孫にあたるお方です。」

「…こいつ何歳?」

「多分46539ふぐぅ!」


年齢を言おうとした瞬間、それはそれは見事なアッパーを決められました。


「ふーん。まぁ、敵じゃねえんならいいわ。じいちゃんの所まで連れてってやるよ。どうせお前らは案内しなくても勝手に付けてくるんだろうけどな。」


彼は笑って手招きしてくれた。

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