第17話久しぶり
「ちょっと、帝王様!」
「お願い。ちょっとだけ、」
と言う彼の身体は小刻みに震えていた。
「分かった。少しだけですよ。」
「ありがとう」
そう言ったあと数分間何も言わず震えていたがポツポツと話し出した。
「さっき言った話なんだけどさ。
小さい頃に母さんは処刑されたんだ。その後父さんも牢獄に冤罪で投獄されてさ、姉さんも奴隷にされてて助けれたんだけどさ。結局戦争で何十人の兵士に串刺しにされた。みんな、みんな私のせいなんだよ。
私が産まれたせいで、家族がめちゃめちゃになったんだよ。」
と泣きながら彼は言った。それが帝王の抱えていた現実だ。やっぱり完璧な生き物は存在しない。感情がある限りは
「それでも、産まれた来たことに罪は無いよ。あなたを誰も、誰一人として愛さなかったの?あなたには居るはずよ!あなたを愛すなかまが!」
彼はハッとしたように目を開く。
「私は昔からずっと思ってたんだ。こんな私が産まれて、生きている事は本当に良いのだろうかって。 仲間達と一緒の立場で歩いて良いのかなって」
大粒の涙を流しながらこちらを見る。
「良かったんだね。全部。」
「うん、だからもう泣かないで、ってあれ?」
足を見ると彼は疲れて眠ってしまったみたいだ。
「もう!せっかく慰めてあげてたのに!」
私も目を閉じる。
「おやすみ、フェニ」
そして深い眠りにつく。
「よく頑張ったね。」
寝ている間に私の手は彼を撫でる。
「あと、もう少し。頑張れ。ありがとう。」
そう言うと自分とは別の意識で動いていた
身体は動くのをやめる。
次の日エディ目線
私はメイドとして帝王フェニを起こしに行く。毎朝自分で起きてくれたら良いのに。
まぁ甘えん坊なのがいいのだけれど。
そんな事を考えながらも
「フェニ様、朝ですよ。マナ様が寂しがっているので早く起きてきて下さい!」
マナ様を放置しすぎると流石にやばい。
しかし大きな声でおこしているが、起きてくる気配がない。
「入りますよ!」
と言って扉を開ける。すると
「…これはちょっと嫉妬してしまいそうですね。」
私はフッと笑った。
それはソファで一緒に寝ている2人の姿だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます