第16話明かされる秘密
あの後みんな酔い潰れパーティーはお開きになり、各自で城の部屋に戻ったが私は最初に目覚めた部屋ではなく別の部屋に来ていた。
「そんな緊張しないで良いよ。ほらそこに座って。」
と座るように勧められて暖炉の前に置いてある大きなソファーに腰掛ける。
「コーヒーはミルク入れる?」
「じゃあお願いします。」
数分後彼はコップを持ってきて私の隣に座った。
「今日よんだ理由なんだけどね、」
「実技試験の時の私が変になった時の事ですよね。」
「…、あぁそうだね。」
やはりそうか。
「ちょっと私の話に付き合ってくれる?」
「はい」
「ありがと」
そう言った彼は立ち上がると髪の毛が伸び、
髪は銀髪になり、女性の様な姿になる。
「あはは、昔から女の子と住んでたからこの姿が癖付いちゃってね。
まぁ、竜種でも僕は中性だから変わんないけどね。」
この姿はたしかに彼と言うより彼女と言った方が良いのではないかと思うぐらい、可愛い姿だ。
「君は今日、自分の意思とは関係なく喋ったでしょう。それは前世の魂と今の魂が2つ入っている証拠なんだ。君の前世の魂は僕の主人の方なんだ。」
納得がいった。帝王があんなに敬語を使うなんておかしいと思っていたから。
「実はね、私はもともとスラム街出身なんだ。人攫い、殺人、窃盗、売春、薬物なんでもありの場所だった。」
「本当?貴方が?」
「あぁ。あんな地獄の様なところで生活していたんだかな、ある時冒険者をしていた時にパーティーを組んで仲間が出来たんだ。」
まさか帝王がスラム街出身だとは思っていなかったから驚いた。それに冒険者だったなんて。
「しかし、さっき言ったとうりスラムは違法な事が日常茶飯事な地獄だ。私の友達も一度攫われたことがあったんだ。」
彼は懐かしい事を思い出した様な顔をしていた。
「私はすぐに助けに行き取り戻す事にも成功した。しかし私は裏路地に追い詰められてな、殺されると思ったよ。だが、」
「だが?」
「彼女が現れた。彼女は全員を殺した後、
私達を治療してくれた。まさに命の恩人だった。だから私は彼女を助けるために強くなった。だが、ダメだった。彼女は殺されてしまった。奴らに、裏世界の帝王達に」
返す言葉が出てこない。
彼の目には少し涙が浮かんでいる様に見える。
「そして私は彼女の魂がどこにいるか探し続けた。帝王になった理由も彼女が帰った時にちゃんとした生活をさせられる様にだ。
そして今日ついに見つけた。」
「それが私なんですね。」
「そう、やっと見つけた。」
と言うと彼は私の膝に頭を乗せて膝枕の様な状態になった。
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