第6話 初めまして⑥

お店の中のカウンターの様な所のさらに奥。

畳の敷かれた、何処か懐かしい部屋に

私は通された。

言われるがまま座布団に腰を下ろす。

そして、さっきまで険しい顔をしていた

ツモリ君がお茶を淹れてくれている。

私が不思議に思って当たりを見回していると

おばあさんが口を開き、

「改めまして、石徹白さん、この度は千尋が

 大変ご迷惑をお掛けしました。」

そう言うと、深々と頭を下げた。

「いえいえ!とんでもない!

 頭を上げてください。

 まぁ、ちょっと驚きはしましたが、

 大丈夫です。

 もしかしたら、私が何かしちゃったのかも

 知れないですし…。」

「まぁ、貴女に非は有りませんよ。

 全てはそこにいる千尋の非で

 ございますから、そんなかしこまらないで

 下さい。ほら千尋、いらっしゃい。」

「あ、はい!

 …どうぞ、宜しければ。

 粗品ではございますが、

 お召し上がりください。」

「千尋。」

「…。」

「この度は、本当に、

 申し訳有りませんでした。」

「申し訳御座いませんでした。」

「いえいえ!大丈夫です!

 え〜っと、ツモリ君…も、

 何か…きっと理由が有ったんだよね?」

「いや、理由が有ろうが無かろうが、

 イトシラさんに失礼な事をしてしまった

 のは、事実だから。」

「そんな事は無いよ!誰だって…」

「理由の如何を問わず、ダメな事はダメだよ。

 しかも、イトシラさんを

 怖がらせちゃっただろうし…。

 だから、御免なさい。」

「この子の言う通りです。

 本当に申し訳ございません。」

「お二人とも頭をお上げ下さい。

 大丈夫です。私、気にしていませんし、

 それに、完璧な、間違いを犯さない人は

 いません。私も、思わず…!

 なんて事、よく有りますから。」

「そうですか…、お優しい御心に

 感謝致します。有難う御座います。」

「え、でも…イトシラさん…」

「ツモリ君、私が良いって、許すって

 言ってるから、もう、いいの!ね?」

「…ごめん、ありがとう。」

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