第4話 初めまして❹

運が良ければ、彼女を見る事が

出来るかもしれない。そう思った僕は、少し駆け足になりながら、こちらから現へと

急いだ。

しかし、遅かったのか学校の外から

楽しそうに話す声だけが聞こえる校舎の中で

イトシラさんも、もう帰ってしまったの

だろうと思うと、妙にガッカリしている

自分が居た。

(うかれて、何してんだろ...。自分。

 校内見回りして帰ろ。)

僕は、自分のクラスの前を最後に通る様に

校内に異常がないか見回った。

そして最後、自分のクラスの前を

通り過ぎようとした所で、声をかけられた。

「あ、津守さん。一限目ぶりですね。

 意外と早く会えましたね!」

 (!?僕の事が見えている?

  この子は生者じゃないのか!?

  でも、この感じは生きているだろうし、

  じゃあ、なんで触れるんだ!?

  いや、それとも化けているのか?

  なんにしても異常だ!!)

 「!...津守さん!?」

(おかしい、おかしい!生者が?

 有り得ない...。感が良すぎる!)

「津守さん?」

(危険な奴かも知れない…。

 でも、この子を疑いたくない…。

 いや、関係無い。俺は門番だ。

 そもそも、なんで正しい手順を踏めた?

 最初からおかしかったんだ。

 気付かなかった俺も俺だけど...。

 最悪、排除対象だ。)

「お前、何者だ?」

「え?津守くん?何言ってるの?」

(まぁ、自分の化け方が完璧だったら、

 疑いたくなるよな。)

「君は、こちら側の人間じゃ

 無いんじゃ無いか?」

「?」

(あくまで、シラを切り通すか...。)

「まぁ、良いちょっと着いてきて貰うよ。」

(あの方の元に連れて行けば、

 何もかも全て分かる筈だ。

 俺が謝るだけいいという結果なら

 嬉しいけど...。

 知ってる。そう、現実は甘くない。

 覚悟しよう。)

イトシラさんが、何かを叫んでいるような

気がしたが、気にしない事にした。

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