番外編・ディートフリート視点で綴る婚礼当日(コメディ?)



とうとうラスト一話(6分割)となりました。

番外編の執筆について、近況ノートに綴っております。


https://kakuyomu.jp/users/ura_ra79/news/16817139556016289678


番外編も甘いです。

お砂糖が苦手だったり、不快に感じられる方はご注意くださるか、読むのをお控えくださいませ。


《コメディ寄りなので、最後はこんな感じになりました…(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)》



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***




「リュシアンったら、どうしちゃったの?」


妻は、すでに三度目となるその言葉を口にした。


———婚礼当日。


神前で夫婦の誓いを立てようという時も、くちづけを交わした時も、駆けつけた親友の王太子ラインハルトをはじめ、夫婦共通の友人たちから祝福を受ける時も……堅物のリュシアンが他の誰よりも多くの涙をこぼしていたのはまがいない事実だ。


無論、私の妻——リリアナは、そんなリュシアンを見るたびに訝しげな視線を投げ、どうして、を繰り返した。


極めつけは結婚を誓った礼拝の後だ。

チャベルを出たリリアナに疾風のごとく駆け寄り、人目も気にせず……あの男はあろうことか、号泣しながら純白の婚礼衣装ごとリリアナを抱きしめた(たとえリュシアンと言えど他の男に1ミリたりとも触れさせたくはない、この私の面前でだ)。


普段は感情をおもてに出さぬリュシアンの奇行。それはモリスでの遭難事件のあと、彼にとってリリアナが失った娘同然の愛すべき存在に変わったからだと思われる。

かつて彼が、実の娘さながら愛し育てたジャクリーンと、亡くなった当時の年齢に近いリリアナの面影を重ね合わせ、あたかも亡き娘ジャクリーンが嫁いだかのような錯覚に陥っているに違いない。


だが、そんなリュシアンとジャクリーンの事情を知らぬリリアナは困惑を隠せない。


リュシアンと彼の娘は何らかの理由で離ればなれになっていて、自分はリュシアンに彼の娘を彷彿とさせ、辛い気持ちにさせるから避けられている、自分はリュシアンに嫌われていると言うのだ。



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