第2話 バイバイ、お父さん
第2話
詩織side
私はお父さんが嫌いでした。
あの人は醜かった。
何故、お母さんはあの男と結婚したのだろうか?
常に疑問に思っていた…
「おかえりなさい、あなた。」
(やっと帰ってきてくれた!さぁ、私の作った料理を食べて!食べて!)
「うん、ただいま。」
(はぁ、何でこんな事をしなきゃならないんだ。)
お母さんは裏表がなくて好感が持てる人だったし、私も嫌いじゃなかった。
でも、お父さんは真逆だった。
ニコヤカな顔をしておきながら、心の中では反対な事を考えている。
私は子供ながら、そのギャップに吐き気を覚えていた。
「どう、美味しい?」
(喜んでくれるかな?)
「うん、美味しいよ!」
(美由紀ちゃんが作ってくれた奴の方が美味しかったよ、クソが。)
ね、気持ち悪いでしょう?
これが、『恋は盲目』という奴なのだろうか?
お母さんはお父さんの本性を知らないまま、幸せそうだった。
でも、私はそれが嫌だった。
私達を産んでくれたお母さんには感謝しているが、このお父さんは何もしていない。
この前の誕生日のプレゼントだって…
「ほら、熊の人形だよ。」
(ちっ、こんなガキに金を使うなら、美由紀ちゃんに使った方がマシじゃねぇか!)
「わーい、ありがとうお父さん!」
(わーい、ありがとうお父さん!)
「…ありがとう。」
と、心の中では後悔を垂れ流していた。
まぁ、姉が嬉しそうなのは良かったが…
そんな気持ち悪いお父さんに悩まされる日々はずっと続いた。
あの日までは…
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とある日、お母さんが買い物が出かけた日に、私達はお父さんと二人きりになった。
そして、私に不快で醜い感情が流れ込んでくる。
(もう少しで高校生か。大きくなったな。本当は美由紀との間に子供を作りたかったのに、遊んだ相手に子供が出来て結婚するハメになったが、成長したコイツらを食えるのは悪くないかもな?犯した後は脅して黙らせとけば良い話だしな。)
吐き気がする。
コイツは邪悪だ、真の害悪だ。
もう、仕方がないか。
お母さんが可哀想だから、やらなかったけど…
…殺しちゃおう♪
「お姉ちゃん♪」
「何?詩織ちゃん?」
(どうしたのかな?)
「お姉ちゃんが見えてるお父さんの糸、全部切っちゃって♪あの人は闇崎ちゃんポイント−1000だから♪」
「うん、解った♪」
(詩織ちゃんが頼ってくれてる♪嬉しい♪)
お姉ちゃんは頷くと、何かを引っ張る様な動作をする。
すると、何処からか煩い音が聞こえてきて…
キキッィ!!!!
車が私達の家に突っ込んできた。
私達は離れていたから大丈夫だったのだが…
「あっ、あ、あ………」
(嫌だ、死にたく…)
お父さんは諸に直撃していた。
床は真っ赤に染まり、身体はあらゆる方向に捩じ曲がっていた。
ぷっ、ざまぁw
「お父さん、大丈夫かな?」
(死にそうだけど、どうしよう?)
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。この男は私達にとって害虫なの。だから、心配しなくても良いんだよ。」
「そっか!じゃあね、害虫さん♪」
(もうお父さんじゃないから、どうでも良いや!)
そんな私達を見て、この男は…
「あ、ああ………」
(助けて、美由紀…)
最後の最後まで、お母さんとは別の女を思い浮かべていた。
うん、死んで当然だね♪
「バイバイ、
こうして、お父さんは死んだのだった。
続く
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