第4章 縁をキリキリ 外堀ウメウメ

第1話 縁の糸と心の目

第1話


私の名前は闇崎 沙織。


私には生まれた時から、変な糸みたいな物が見えていました。


細い物から太い物、短い物から長い物。


良さそうな物から、悪そうな物まで…


…様々な糸が見えるのです。


私は何とも思いませんでした。


最初はお母さんやお父さんにも言いました。


幼稚園の先生や友達にも言いました。


でも、誰にも見えず、誰も私の事を信じてくれないのです。


でも…


「大丈夫だよ、お姉ちゃん。私は、私だけは信じてるよ。」


妹の詩織だけは信じてくれました。


私の味方は詩織だけだったのです。


だから、私は…


お母さんを


詩織ちゃんがそうした方が言ったからです。


私は邪魔なお父さんの糸を切りました。


お父さんから繋がっていた糸をお母さんや私、妹から離したのです。


そうしたら…


-----------------------------------------------------------------


私の名前は闇崎 詩織です。


私は生まれた時から、耳が良過ぎたのです。


口から発せられた言葉以外…心の声が聞こえてしまうのです。


だから、私は誰も信じられなかったのです。


誰もが悪しき感情を抱き、それを垂れ流す。


…気持ち悪い存在に見えました。


仕方がない事です。


最初はそう思い、我慢していました。


でも…


「お姉ちゃん!?」


お姉ちゃんが虐められていたのです。


私が唯一心を許せる存在だった、大切な姉が。


姉は虐められてる自覚は無かった様ですが、虐めている奴は悪意に満ちていました。


私は許せなかった。


だから…


「お姉ちゃん、その糸を切っちゃった方が良いですよ。そうすれば、私達は幸せです。」


私は姉が見えている糸を利用し、奴等を滅茶苦茶にしました。


ある者は家族から捨てられ…


ある者は下校中に撥ねられ…


ある者は不審死に誘拐されて暴行死…


ある者は事件に巻き込まれ、刺殺されたり…


ある者は無理心中を強制されたり…


悪意に満ちた悪い奴等は全て酷い目に合いました。


でも、奴等が悪いのです。



奴等の糸は細く短かったらしいのです。


つまり、その程度だったのです。


「お姉ちゃん、これで私達は幸せになれるね!」

「うん!いつもありがとう、詩織!」


ああ、良い笑顔だ。


純粋で無垢で、汚れのない顔だ。


心も澄み渡り、光で満ちている。


私はこれを全て守ろう。


その為ならば…


。」


さぁ、今日も頑張りましょう。


でも、無駄に人の糸を姉に切らせるのは駄目ですね…


そうだ!


ポイント制にしてみましょう!


これが貯まれば、容赦なく姉に切らせるとしましょう!


「「きゃっ!」」


誰かとぶつかって、姉が転け、それに私も巻き込まれてしまった。


そして、ぶつかった相手は…


「ちっ、痛いんだよ!ふざけやがって…」


…闇崎ちゃんポイント−100ですね。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る