第7話 世界を染める純愛な闇

第7話


この声、この気配は…


…違う!


コイツは、彼女じゃない!


『やっと、見つけた!さぁ、一つになりましょう?そして、貴方を神へと昇華させて…』

「させる訳…」

『…ないでしょ!』


俺の身体に触れていたナニカが吹き飛び、蒼い炎が蝋燭に飛び、再び世界は光を取り戻す。


そして、目の前には…


「化け物が、二人?」

「どうやら、この悪霊達は元々2つだったらしいの。」

『今は完全に敵対してるんだけどね、リュー君♪』


もう一人の悪霊と、彼女が俺を守るかの様に立つ。


吹き飛ばされた奴は、立ち上がり…


『何で邪魔するの、化け物。私はこれからリュー君と一つになるの!そして、彼を最高の神へと昇華させていく所だったのに!』

『気持ち悪い事わね、化け物!それを私が許す訳がないでしょ!』


いや、どっちも化け物…


「色々とあるみたいだけど、手伝ってくれるって事で良いのよね!」

『当たり前よ!コイツも、私も死んだ存在。もう、リュー君に縋る権利すらないのに、この世界に居る事が間違っているのだもの。』


彼女達にとって、俺はどんな存在なのだろうか?


彼女達をこうさせる程までに、俺は大きな存在なのだろうか?


『邪魔をする奴は許さない。全て、消え去れば良いんだ!』


悪霊…もう面倒くさいので悪霊B(味方の方がA)が叫ぶと、世界が揺れ始める。


「地震!?」

「違う、アイツが世界を塗り替えてるの!」

『二人とも、こっちに来て!』


少しずつ、再び闇が世界を支配し、塗り潰していく。


この三人は知らないが、奴の正体は…


…世界を染める純愛な闇。


全てを呑み込み、破滅させる邪神なのだから。


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「はぁはぁ、大丈夫?皆、無事?」

「大丈夫だ…」

『私も大丈夫…というか、これは私の世界でもあるから…』


辺りを見渡すと、真っ黒闇な荒野に立っていた。


でも、周りがちゃんと見えるのが不思議すぎる。


しかも、何か空気がヌメヌメしているというか、粘っこいというか、しつこいというか…


「何か粘着質な感じの世界ね…」

「そうだな…」

『ノーコメントで…』


って、ヤバい!


「避けろ!」

「きゃっ!?」

『来たわね…』


いきなり、遠くからナニカが飛んでくる。


これは…人間の手?


『リュー君!我らがリュー君!私の、私だけの素敵な神様!見つけた!やっと、見つけた!ああ、二人で世界を創造しましょう!』

「何じゃアレ…」

「もう、化け物とかの域を超えてるじゃない…」

『私達は魂の塊。生前の心、欲望を剥き出しした存在なの。つまり、アレが…』


其処には、無数の縋るかの様な手…


鎖に縛られ…


目を縫い付けられ…


耳を引き裂かれ…


…見ただけで吐き気を催す様なナニカが居た。


『…アレが彼女の本性其の物。怪物が人間の形をしていた者の、成れの果てよ。』


もう、笑うしかなかった…


こんな奴に勝てるのか?


続く

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