第8話 いつか見た過去 いつかの想い
第8話
無数の手が迫りくる。
俺達を温かく包み込む様に…
だが、その手からは冷たい物しか感じなかった。
触れたら、終わり。
そう脳が警鐘を鳴らしてくる。
でも、これ…
「避けられるか?」
…無理だ。
何をしても敵わない。
俺はそう思った。
いや、正直無理でしょ?
あんな化け物に敵う筈が…
『諦めないで!』
「そうよ!」
二人の少女(一人は悪霊)の声が響いた。
その瞬間、無数の手は歪み捻じれ、蒼い炎で焼き払われる。
暗闇の中に光が差した…
そんな気がした…
「諦めないで、諦めたら全部あの化け物に奪われるだけよ。」
『そうよ!それに貴方は負けない。貴方は私達にとって天敵!貴方はこの戦いの切り札なの!』
どうして…
どうして、お前は…
「お前は何なんだよ!何で、俺に拘るんだ!俺の何処がそんなに良いんだよ!」
全く解らない…
…解らないからこそ、本当に怖い。
『好きだからに決まってるでしょ!』
「…え?」
「えっ、そうなの?」
皆がポカンとしてしまった。
何故か、悪霊Bの攻撃も止む。
苦々しい顔をしていたが…
『多分、貴方は覚えていない。それでも、貴方は私達にとって希望の光なの。受け取り方は、完全に違えてしまったけれど、根本的には同じなの。だから、私達は貴方に執着してしまう。私は誰かさんのお陰で目は冷めたけどね…』
強い想いが流れ込んでくる。
重く、何重にも重なる程の、強い想いだった。
まるで、何度も、何度も何度も、何度も何度も何度も、想い続けてきた様な感情だった。
「重い…愛だな……身に覚えが無さ過ぎて、キツいよ全く………」
『でしょうね。でも、私は貴方を愛しているわ。』
まるで、呪いだなこりゃ…
「解ったよ、俺も腹を括るさ。で、どうすれば奴に勝てる?」
『少し耳を貸して…ほら、貴方も。』
「了解!」
と、悪霊Aが作戦を話してくれる。
……………………………………………………えっ?
「俺、マジでこれをやらなきゃ駄目?」
『駄目。苦渋の決断なの。私が暴れ出す前にさっさとやりなさい。』
「ウケるwドンマイ♪」
他人事だと思って、笑ってんじゃねぇよ!
ちくしょう、やるしかないか…
『もう作戦会議は終わり?』
「ああ、終わったよ。覚悟も決まった。後はお前を倒すだけだ。」
『キャッ、リュー君に求められるの最高♪でも、その前に汚れは削がないとね♪』
くっ、本当に嫌だ…
でも、やるしかないんだ!
「行くぞ、朱里!此処から先は俺の
続く
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