第2話 巣喰う者
第2話
キラリside
私はこの男子を観察し始めた。
彼は全く背中のアレに気が付いていない。
まぁ、そういう系の能力が無ければ当然の話だ。
当然の話なのだが…
「あっ、霧崎君!ちょっと良い?…」
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!』
「ひっ、な、何これ?ご、ごめんね、何でもないや!」
「…何だったんだ、アイツ?」
と、見えてなくても危機感を覚えさせる程に凶悪なのだ。
それに、もっと恐ろしいのは…
『ヒト、食う。ヒト、美味しい。ヒト、見つけた!いただきマス!』
『邪魔!』
『ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!!!』
と、他の悪霊や悪質な怪異をも消し去っている。
彼が居る所だけ、クリーンルームに入ったかの様に綺麗になるのだ。
最早、綺麗過ぎて逆に気持ち悪くなる位に。
「まるで、殲滅兵器ね…」
これ以上近づくのは危険だと、本能がそう呼び掛けてくる。
だが、それ以上に好奇心が抑えられない。
しかも、よく見たら…
「めっちゃ死相あるじゃん…」
何この男子、呪われてるの?
いや、化け物が憑いてる時点で凄く呪われてる様な物か…
ん?
「女難の相まであるし…」
これはぶっちゃけ納得だ。
だって、見れば解るし…
コイツ、絶対女誑しだ…
…もしくは、厄介な女ホイホイ。
今度、知り合いの地縛霊と賭けてみようかな?
「なぁ、お前…」
「きゃっ、な、何でしょうか?」
思わず、敬語で返してしまった。
びっくりしたぁ…
ていうか、誰よもう…
あれ、あの男子は…
…って!?
「本人様!?」
「…大丈夫か、お前?」
ヤバい、本人様が近付いて来た!
『女、また女だあ゛あ゛あ゛!』
ご、ごめんなさい!
じゃなくて、ちゃんと正気を保たなきゃ!
いや、間近で見ると本当に怖いなこの娘!
まだ、目が2つある様に顔の輪郭だけはちゃんとしてるの助かるけど、余計に怖いよ!
てか、何で私に?
用でもある?
もしかして…
「ナンパ!?」
「いや、初対面なんだが…」
でも、ナンパって初対面でやる物じゃない?
「はぁ、少し気になる事があるんだ…」
「えっ、何?何?聞きたい事があるなら、何でも言ってね♪」
「情緒不安定過ぎるだろ、コイツ…」
そんな事はないと思うけどなぁ…
「はぁ、もう良い。真正面から聞くぞ?」
「うん、良いよ!」
「コイツ…はぁ、何で俺を付けてきてきてるんだ、お前?」
「えっ…」
もしかして、気が付いてたの!?
後ろの悪霊には気が付かないのに!?
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます